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二の宮越智クリニックの越智五平先生に聞きました!

~ ワクチン・予防接種・健診について ~

[小児・小児外科]

Q:生後1か月の赤ちゃんがいます。これから始まる予防接種や乳児健診について教えて下さい。 NEW

生後1か月といえば産科での健診が終わり、いよいよ小児科で予防接種や乳児健診が始まります。特に初めてのお子さんの場合は予防接種は何をどのように始めたらよいのか、乳児健診では何をするのかなど不安に思われると思います。
予防接種は10年前からヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が始まり、その後同時接種も行われるようになりました。生後2か月から始めるワクチンは早期に危険な病気に備えるためです。実際、この2つのワクチン接種が始まって乳児の細菌性髄膜炎は激減しています。また同時接種についても我が国でもすっかり定着しておりまず心配はありません。
生後2か月から予防接種が始まるメリットは赤ちゃんの異常を早く見つけられることです。臍ヘルニアや股関節脱臼は早期から治療することで治したり予防することができます。通常3か月から乳児健診が始まりますが、同時に2回目の予防接種も受けることが可能です。この健診から身体計測、診察のほか超音波検査や、育児相談、栄養相談、発達相談を行い、さらに眼の検診なども加えて1歳までの成長をみています。

Q:赤ちゃんの予防接種は種類が沢山あります。すべて必要なのでしょうか?

1796年、ジェンナーが天然痘(致死率40%)予防のためワクチン(牛痘)を接種して近代的な予防接種の歴史が始まりました。日本でもその後約50年経って種痘所が設置され、1909年には種痘法が施行されました。1958年の世界保健機関(WHO)の「世界天然痘根絶計画」により種痘が積極的に行われ、1977年に最後の自然感染患者が出た後、1980年に「根絶宣言」されました。
2013年からいくつかの予防接種が定期接種化され赤ちゃんに接種する種類、回数が増加し、同時接種も行われるようになりました。その結果ヒブと肺炎球菌では前者の患者数は10分の1に、後者は2分の1になっています。水痘ワクチンの2回接種により水痘患児は激減しています。すでに定期化されていたポリオ(現在は四種混合に含まれる)や日本脳炎などはほとんど発生していません。一方、B型肝炎ワクチンは感染による肝硬変、肝臓がんを予防するもので、定期接種に限らず全年齢での接種が望まれます。
予防接種の究極の目的は目標とする感染症の根絶です。重大な副反応、副作用は予測できないものですが、予防接種は個人の健康、集団の感染予防に不可欠です。

Q:予防接種の時に母子手帳が必要なのはいつまでですか? 

定期の予防接種は母子健康手帳(以下、母子手帳)の予防接種欄でワクチンの接種回数、接種間隔などを確認することとなっており、持参しなければ接種できません。現在、日本脳炎ワクチンは19歳まで接種できますがこの場合にも母子手帳が必要です。
母子手帳にはいろいろな成長の記録、予防接種歴が記載されています。お母さんが書き加えられた成長の様子、かかった病気の記録などが任意のワクチン接種に際しても有用な場合があります。私は中学生までは持ってきていただきたいと思っています。
母子手帳は日本で独自に発展したものです。1947年に「母子手帳」として妊産婦のみならず小児の健康管理に用いられるようになりました。1960年の母子保健法により「母子健康手帳」となり、妊娠の届けにより交付されるようになりました。お母さんが手帳に成長記録を自由に記載できるようになったのは1981年からで、2012年の様式変更でさらに充実して現在に至っています。ちなみに私の長男の時には「就学時まで保存」、次男の時からは「中学入学まで保存」のスタンプが表紙に押してあります。母子手帳は親子(お父さんの記入もいいですね)の生涯の記録になりますので大切に保管しておきましょう。

Q:乳幼児健診ではどのようなことをしているのですか?

乳幼児健診の目的は先天的あるいは発育状態を含めた後天的異常の早期発見と子育て全般の育児指導や栄養指導を併せて行うことです。生後1か月の健診は出生した施設で行なわれるのが殆どです。定期健診は3か月から始まりますので2か月間隔が空きます。そこで生後2か月から始まる予防接種の際に、通常の接種前の診察に加えて2か月健診に相当する診察も行って、黄疸や臍(へそ)ヘルニアなど早期に治療すべき疾患を確認しています。
定期に行われる3~4か月健診では体重増加など発育状態や首のすわり具合、先天性股関節脱臼の有無などの確認を行います。6~7か月健診では運動発達や栄養状態なども確認していき、9~10か月健診では更に貧血の有無も確認しています。それぞれの健診において、超音波検査で肝臓、腎臓など内臓の検査も行っています。1才健診からは言語や歩行の状態など発育、発達の確認が最も重要になります。1才6か月健診、3才健診は自治体の集団健診で行われていますが、大勢の同年齢のお子さんの様子も知ることができます。
乳幼児健診は医師のみならず、保健師、栄養士など専門家の助言を受ける機会だと考えて積極的に受けていただきたいと思います。

Q:赤ちゃんのB型肝炎ワクチンの接種について教えて下さい。

B型肝炎はウィルス肝炎の一つで、成人になって肝硬変を起こしたり、肝臓がんを発症することがあります。主に血液を介して感染するといわれていましたが、最近ではその他の体液でも感染することがわかっています。したがってウィルスを体内に持った人(キャリア)から知らないうちに感染することがあります。特に乳幼児期に感染した場合にはウィルスを体の中に持続感染してしまうキャリアになる頻度が高く、さらに感染を拡大させてしまうことになります。実際保育園などでの集団感染の報告もあります(水平感染)。
垂直感染である母子感染に対しては今までも出生直後にグロブリン注射とB型肝炎ワクチン接種が公的(母子感染防止事業)に行われていました。この10月からはこのワクチンも定期接種化される予定ですが、対象となるのは平成28年4月以降に生まれた乳児とのことです。接種は原則として生後2か月、3か月と7~8か月の3回接種が標準で1才までに終了する必要があるとされています。ワクチン接種年齢が若いほど免疫応答が高く免疫が持続することも理由です。定期接種化に伴う接種時期も気になりますが、定期接種の対象となっていないお子さんも含めて優先して接種すべきワクチンです。

Q:乳幼児健診の受け方について教えてください。

乳幼児健診の目的は先天的な異常や発育状態の異常の早期発見です。また、栄養指導や子育て全般の育児指導も併せて行います。
生後1か月に行われる健診は主に出生した施設で行われています。最近では生後2か月からヒブワクチンなどの予防接種が始められています。その際に問診票の確認だけではなく診察もしていますので気になることがあったら申し出られて良いと思います。
乳児期の健診は通常3回行っています。3~4ヶ月健診では発育状態に加えて首のすわり具合、先天性股関節脱臼の有無などの確認を行います。6~7ヶ月健診では運動発達や栄養状態を確認しており、9~10ヶ月健診では更に貧血の有無もチェックします。1才健診からは幼児期の発育、発達の確認が最も重要になり、言語や歩行の状態の診察に加え、歯科検診も始まります。1才6ヶ月健診、3才健診は集団健診で行われますが、同じ年齢のお子さんが集まりますので情報交換の場にもなります。
乳幼児健診は医師のみならず、保健師、栄養士などそれぞれの専門家の助言を受ける機会だと考えて積極的に受けていただきたいと思います。

Q:水痘(水ぼうそう)のワクチンは接種した方がいいのですか?

水痘は年に100万人がかかる病気で、きわめて一般的な病気です。昔から自然にかかった方が一生免疫がつくといわれてきました。しかし、年に4,000人程度の水痘患者が入院するほどまで重症化し、20人程度が死亡するといわれています。 重症化の原因は熱性けいれん、肺炎などの合併症です。また、保育園、幼稚園、学校などの集団生活は痂皮(かさぶた)化して治癒するまでは出席停止です。

この10月からは水痘ワクチンが定期接種化され、1歳から2歳までのお子さんは原則無料で2回接種できます。また、平成27年3月までは3、4歳のお子さんも特例で1回のみ接種できます。これは1回の接種のみでも重症の水痘はほほ100%予防できると考えられているからです。
10月になったら1歳をこえた方は1回目の接種を早めにすることをお勧めします。2回目の接種は1回目の接種から3か月以上あけて行います(6か月~12か月に行うのが標準的とも)。ところで1歳以降に1回のみ任意で接種された方の2回目の定期接種も、10月以降に3歳未満であればできます。
なお、すでに水痘にかかった方は接種対象外です。

Q:予防接種の種類が昔とずいぶん変わった気がします。本当に必要なのでしょうか?

1796年、天然痘という病気(致死率40%といわれる)に対してジェンナーが牛が感染する牛痘の膿を用いたワクチン(牛痘)を接種して、近代的な予防接種の歴史が始まっています。日本ではその後、約50年経って種痘所が設置されて普及し、1909年に種痘法が施行されました。1958年に世界保健機関(WHO)により「世界天然痘根絶計画」が可決されて種痘は積極的に行われ、1976年に予防接種は廃止、1977年に自然感染最後の患者が出たあと、1980年に根絶宣言が行われています。日本では種痘後脳炎の問題(種痘禍)があり、世界に先立って1972年夏には種痘接種は中止されています。
最近定期接種になったヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンの成果ですが、報道によると前者で患者数は10分の1に、後者で2分の1になっているとのことです。これまで定期の予防接種で行われているものでは、ポリオや日本脳炎などは患者がほとんど発生していません。
予防接種の究極の目的は、目標とする感染症の根絶です。天然痘は180年かかって根絶されました。副反応、副作用はこれからも解決すべき問題ですが、予防接種が個人の健康に貢献しているところは確かです。

Q:不活化ポリオワクチンの接種はどのように受ければいいですか?

9月から不活化ポリオワクチンの接種が始まりました。これはポリオ単独ワクチンで、今まで全くポリオワクチンを接種していないお子さん、生ポリオワクチンを1回しか接種していないお子さん、それに任意に不活化ポリオワクチン接種を開始されていて接種回数が4回に達していないお子さんが対象になります。現在まで全く接種されていない方は9月から1回目の接種を始めて合計4回の接種を受けます。生ポリオワクチンを受けた方はその接種から4週以上あけて残りの3回を受けます。任意に不活化ポリオワクチンを受けた方は残りの回数を受けて合計4回になるようにします。
接種間隔は1回目から3回目までは20日以上あけて(当分の間、8週以上の間隔をおいても接種可能です)、4回目は3回目から6か月以上あけて接種することになっています。なお現在4回目の追加接種は定期接種対象外ですので、案内があるまでしばらくお待ちください。ポリオワクチン接種該当者に対するワクチン供給は滞りなく行われるとのことです。焦ることなくお子さんの健康状態が良好な時に接種されるとよいと思います。
11月からは現在の三種混合(DPT)ワクチンにポリオワクチンを加えた4種混合ワクチン(DPT-IPV)も接種が始まる予定です。