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街のお医者さん相談室

体・心・病気の悩みなどの医療相談を、街のお医者さんに出演いただいた先生がお答えします。

つるみ矯正歯科の鶴見淳子先生に聞きました!

つくば市二の宮1-14-41
TEL: 029-858-5505

矯正・一般・小児・審美歯科、インプラント

クリーニングは歯垢(プラーク)や歯石、着色などを取り、歯をきれいにすることです。ついてしまった歯石や着色は歯ブラシでとることができません。しかし、このピカピカの状態はその日だけですぐにプラークはつきます。プラークと歯石はむし歯、歯周病の原因。これらを予防するには、プラークを毎日毎日歯ブラシで取る以外ないのです。
つまり、大切なのは「セルフケア」です。クリーニング時に歯みがきの練習をしますが、染め出しをして汚れを確認すると、磨いたつもりでも磨き残しがあるのに気づきます。「歯なんて磨けるさ」と思っていても磨けていないのがほとんど。「クリーニングをしているのにむし歯になる」のは、プラークをとることができていない、歯みがきができていないからです。また、だらだら間食を取ったり、甘いものをちょびちょび飲んでいませんか?
定期的なクリーニングとは歯の定期的なメインテナンスのことです。セルフケアを向上させる、気がつかない歯周病や小さなむし歯を発見して早く対策をとり長期的にお口の健康を守ることが目的です。歯磨きの仕方を見直して、ぜひ定期的なメインテナンスは続けてください。

フッ素は元素名であり、水や食品中のフッ素は「フッ化物」といいます。フッ化物は、海産物、食肉、野菜、お茶など多くの食品に含まれていますが、このフッ化物には、歯を丈夫にする、初期むし歯の進行を抑えるなどの働きがあります。歯の表面にフッ化物を作用させるために、フッ化物配合歯磨剤の使用、フッ化物歯面塗布(主に歯科医院で)などの方法がありますが、他にフッ化物洗口があります。
フッ化物洗口は、フッ化物の液でブクブクうがいを行なう方法です。簡単で効果が高く、しかも学校・保育園・幼稚園等で継続して行なうことで、家庭環境に影響されることなく皆が平等に効果を得ることができます。歯が生えてから1~3年がむし歯になりやすい時期なので、4才から中学生くらいまでが予防に重要な時期であり、この時期にフッ化物洗口をするのは大きな意義があると考えます。
用法・用量を守って実施すれば安心で安全なむし歯予防法です。もしも1回分の洗口液を飲み込んでしまっても問題ありません。WHOはじめ多くの研究機関が安全かつ有効としていますので、安心してください。

先天欠如歯といってもともと歯の数が少ない方がいます。多くは1~2本の欠如ですが、それ以上の場合もあります。
歯は上下左右の数がそろっていてバランスがとれるので、歯の数が上下または左右で違うと、かみ合わせのズレが生じます。例えば下の歯が2本少ないと相対的には出っ歯の状態になることが多くなります。その出っ歯の程度によっては矯正を検討した方がいいと思いますが、必ずしも矯正が必要かはわかりません。機能的な問題(口が閉じにくいか、咬みにくいか等)があるか審美的な問題があるかは人それぞれなので、必要性も人によって異なります。
先天欠如の部位によっては早期発見し、乳歯からの経過観察が大切です。状況によっては早期治療も考えます。乳歯の生えかわりが遅い時はエックス線撮影をして歯の数を確かめると安心だと思います。

歯科でいうインプラントとは歯を失ったところの顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療、または人工歯根のことをいいます。ただし誰でもインプラント治療が受けられるかというとそうではありません。全身疾患を抱えている方は治療が難しかったり、骨の硬さによりできないこともあります。またインプラントを埋め込むのに必要な骨の量が不足している場合もできません。最低必要な骨の量は幅(水平的)7~8ミリ、深さ(垂直)7ミリ程度です。ただインプラントはメーカーにより様々な長さ、太さ、形状のものがありますので、使用するインプラント体によりこの条件は違ってくることもあります。
骨の量が不足している場合には、骨を補う処置「骨造成」を行ないます。人工骨や自家骨をインプラント埋入部位に外科的に入れ、それが定着し適した硬さになるまで、数カ月待ちます。その後CT等にて診査をして骨の状態を確認してからインプラント体を埋め込むことになります。

ワイヤーをつけっぱなしにする矯正と違い、取り外しができるマウスピースでの矯正は目立たない、歯みがきがしやすい、金属アレルギーの心配がない、通院回数が少ないなどのメリットがある反面、長時間装着する必要がある、適応範囲が限られている、患者さんの装着時間に治療の結果が左右されるなどのデメリットがあります。
マウスピース矯正は基本的には難しい治療は苦手です。歯並びのガタガタ(叢生)がひどい方は抜歯して治療することがありますが、これは適応外になります。歯を大きく動かすケース、骨格のズレがあるケースもワイヤー矯正の方が適しています。
取り外しができるので、負担がなく簡単に治るようなイメージを持つ方もいらっしゃいますが、一日20時間は装着しなくてはいけないので自己管理は大変です。また、マウスピース矯正で動きにくい場合、予想外の動きをした場合などは必ず代替え治療が必要になりますので、よく相談のうえ始めてください。

矯正治療の目的は主に2つです。機能的問題の改善と審美的な問題の改善です。つまりきれいな歯並びできちんと咬めるお口にすることです。物が咬みにくいかみ合わせ(開咬、極端な上顎前突)や歯の萌出が何らかの原因で妨げられている場合、左右差があるかみ合わせ、反対咬合など機能的な問題があるときは早くから治療を考えた方がいいと思います。
矯正治療はⅠ期治療(前期治療)とⅡ期治療(後期治療)に分かれています。Ⅰ期治療は6~12才位が対象で、永久歯の萌出を促したり、後のⅡ期治療を成功させるためにその時期にしか出来ない事をします。Ⅰ期のみで治療が終了することはほとんどありません。
例えば8才で来院した場合、リンガルアーチやホールディングアーチを入れるケース、拡大床を使うケース、ブラケットをつけるケース、また何もしないで永久歯になるまで経過観察をする(Ⅰ期治療はしない)ケースなど様々です。最適な治療開始時期は人によって違うのです。
その時期を親御さんが判断するのは不可能なので、まずは一度早めに受診して、最適な治療のタイミングを逃さないようにしてください。

この検査はおそらくダイアグノデントを使ったものだと思います。レーザー光でむし歯を検知する装置です。レーザー光を歯の表面に照射して、その反射から歯の状態を読み取ります。肉眼では見えない内部の状態を0~99の数で表示します。数値が低いほど健全な歯、高いとむし歯を疑います。中間は経過観察の必要ありとなります。
例えば、お子さんの場合、歯の表面では小さなむし歯に見えても奥ではむし歯が広がっていることがあります。こういう場合ダイアグノデントの値が高ければレントゲン撮影をして、虫歯の状態を確かめてから治療を検討するわけです。通常のむし歯の検査には、視診(目で判断)、触診(器具で触って判断)、レントゲン撮影、過去の状態からの変化などがあり、ダイアグノデントだけで判断することはありえません。
また、レーザー光が歯や歯ぐきを傷つけることはないので安心してください。

八重歯とは、犬歯(歯列の中央から3番目の歯、多くは上顎の歯)がきれいに並ばずに外側に出ている歯のことをいいます。隣の前歯と重なっていることがあり、しかも上の方にあるので、下顎の歯とかみ合うことはありません。また、八重歯がある方は、犬歯だけでなく他の歯にも叢生(ガタガタ)があることが多く、見た目の問題だけでなく、かみ合わせが悪い、歯みがきがしづらくむし歯になりやすいなどの問題もあります。
外側に出ている八重歯を抜けば見た目がよくなると思う方もいると思いますが、八重歯は抜かないでください。犬歯は他の歯より歯根(歯の根っこ)が長くとても丈夫な歯です。また、歯列のカーブのところに位置することで、かみ合わせや歯ぎしりなどの強い力に抵抗するとても大切な歯です。もちろん抜いてもかみ合わせはよくなりません。
八重歯を治すには矯正治療がいちばんです。八重歯のかわりに他の歯(小臼歯)を抜くことがあります。どの歯も抜かないで歯列の幅を拡大して治すこともあります。

歯ブラシだけで歯の汚れ(プラーク)をとるのは大変困難です。歯と歯の間についたプラークはデンタルフロスでとる必要があります。
デンタルフロスはナイロン製の糸です。糸巻タイプとホルダータイプがありますが、慣れれば糸巻タイプがおすすめです。
サイズが細いものと太いもの、ワックス付きのものとワックスなしのタイプなど様々な種類がありますが、ワックスの有無でプラーク除去効果に違いはないと言われています。
歯と歯の間に容易に挿入できるものを使っていただければどのタイプでも大丈夫です。歯と歯の接触が強く挿入しにくい時は、ワックス付きがいいでしょう。使用したときにフロスがほつれて切れやすい場合もワックス付きがおすすめです。一番奥歯の後ろ側や、ブリッジの人工歯の下面は太めのタイプが使いやすいと思います。

生後6~7カ月頃から乳歯が生えはじめ、2歳半頃に全部の乳歯が生えそろいます。それから全部が永久歯になる10~12歳までの長い間、乳歯には大切な役割があります。
当たり前ですが、よく噛むため、正しい発音をするために乳歯は必要です。そして永久歯が生えるスペースを確保するという大切な役割があります。
永久歯のもと、赤ちゃんはあごの骨の中で徐々に形成され、少しずつ上(または下)に動きながら乳歯の根っこを溶かします。そして乳歯が抜けたら永久歯が頭を出す、というわけです。しかし、早期に乳歯が抜けてしまうと、まわりの歯がそこに動いたり傾いたりして、後続永久歯が正しい位置に出られなくなり歯並びが悪くなります。
乳歯がむし歯になったら、抜かなくてもいいように早期に治療しましょう。もし抜いた場合には状況により保隙装置(ほげきそうち)を入れます。そして永久歯が出るまで経過観察します。

スポーツをしていると、飛んできたボールが当たる、相手の手足や頭とぶつかる、ラケットやバットが当たるなどして、歯や顎が折れたり、脱臼することがあります。これらの外力から歯と歯周組織(特に上の前歯)と顎を保護するのがスポーツマウスガードです。
マウスガードの装着は少なからず口の中の状態を変化させることになるので歯科医師がつくるカスタムメイドタイプのものがおすすめです。
矯正治療中の方でもスポーツマウスガードを使用できます。ただし既製の物ではなくカスタムメイドタイプになります。歯の動きにより調整が必要になるので、診療のたびに持参してください。歯が動くことにより適合は悪くなるので再製作することもあります。
矯正治療中はワイヤーで歯が連結されているので脱臼は少なくなりますが、口唇や頬の粘膜は傷つきやすくなるのでその点でもマウスガードは有効だと思います。

舌の下にある膜状のヒダのことを舌小帯といいます。口を開けて舌の先を上あごに向けて持ち上げると中央に見えます。これが短いのが、舌小帯短縮症です。舌を上に持ち上げられない、また舌を前に出せない(あっかんべーができない)、出せても少しの場合、舌小帯短縮症を疑います。舌小帯短縮症では発音や歯並びに影響が出ることがあります。
発音障害は、ラ行サ行に多く見られる傾向がありますが、小さなお子さんの場合は発達の過程にみられる誤りの可能性もありますので経過をみていいと思います。実際に舌小帯が短いことによる発音障害でも発音訓練のみで改善する場合もあります。歯並びに影響が出ているときも、まず機能訓練(MFT)をして様子をみます。
重症な舌小帯短縮症には手術も検討しますが、手術により完全な機能改善が必ず得られるわけではありません。手術は成人よりも小児で行なうほうがよいとされていますが、安易に早期手術をせずに機能訓練等を行なってからその成果をみて判断します。

エックス線撮影は直接見ることができないところの多くの情報を与えてくれます。深い部分のむし歯の広がりや、歯を支える骨の吸収状態、顎の骨の中の腫瘍やのう胞などです。大変重要で有用な検査ですが、妊娠中の方は被ばくによる胎児への影響が心配になると思います。
歯科でよく撮影するエックス線には、2~3歯を撮るデンタルエックス線と歯全体とあごの骨の様子を見るためのパノラマエックス線写真があります。これらが二次元の写真であるのに対しコーンビーム型CTは三次元の画像として見ることができるので情報量は格段と多くなります。デンタルエックス線の被ばく量は0.01mSv、パノラマエックス線で0.03mSv程度とされています。コーンビーム型CTでも0.1mSv程度(年間自然被ばく量約2.1mSv)です。さらに撮影時には防護エプロンをつけるので赤ちゃんへの影響は心配しないでいいでしょう。でも、受診の時は妊娠中であることを必ずお伝えください。ご相談の上、処置内容や処方薬を考慮いたします。

唾液の分泌が少なくなる口腔乾燥症(ドライマウス)かもしれません。食べ物が飲み込みにくくなる、口の中がねばつく、口臭が気になる等の症状の他に、虫歯や歯周炎の原因にもなります。女性に多く、大半は60歳以降です。ドライマウスの原因は、服用している薬剤やストレス・自律神経の乱れや加齢によるもの、全身疾患などです。口呼吸も関係しています。
セルフケアとしては唾液腺マッサージや口腔保湿剤の使用です。三大唾液腺である耳下腺・顎下腺・舌下腺を刺激することによって唾液を出やすくします。耳下腺のマッサージは耳たぶの前方に指をあててやさしく円を描くように動かし、顎下腺舌下腺のマッサージは下あごの内側を指で軽く押し上げます。保湿剤はスプレー、ジェル、洗口液タイプがありますが、症状や目的に合わせて選択します。しっかりと水分をとり、よく噛むことも大切です。
ドライマウスの原因によっては医科での治療になります。虫歯や歯周炎のリスクが高くなるので定期的に歯科も受診する連携治療が必要です。

お子さんの初めての歯科健診は、多くの自治体で行なっている1歳半健診でしょう。
この頃は食事もきちんととるようになるうえ、おやつやジュースなども摂取し始めます。また奥歯も生え始めるためむし歯になるリスクは高くなります。1歳半健診後も半年ごとに受診するのが理想ですが、3歳(個人差があります)を過ぎるまでは診察を受けるのが難しいお子さんもいます。お子さんの成長やお口の環境により受診を検討してください。
低年齢の時は親子でセルフケアをしっかり行ないながら徐々に歯科医院に慣れ、歯みがきの練習やクリーニングをして、そのうち歯科医師や歯科衛生士とコミュニケーションがとれるようになってから予防的処置(フッ素塗布やシーラント)をするのがいいと思います。
むし歯になって痛みがでてからの来院は恐怖心がでます。歯科医院は痛くならないためにお口を気持ちよくするところと、親子で思っていただきたいです。

きれいな歯並びになっても矯正治療は終わりではありません。歯はワイヤーを外して自由な状態になると「後戻り」という動きをします。元と似たような歯並びになろうとするのです。
後戻りを防ぎきれいな歯並びを保つために「リテーナー」という装置を使いますが、この使用期間は長ければ長いほどいいとされています。当医院では5年間の使用を勧めています。しかし5年間使用したから後戻りしないわけではありません。では、後戻りさせないために一生リテーナーを使えばいいかというとそうではありません。
歯並び、かみ合わせには加齢的な変化や口の健康状態、歯ぎしり食いしばりによる歯の生理的な移動がおこります。強固なリテーナーを長期間使い続けることは、歯の生理的な移動を妨げ、新しい口の環境や加齢による変化に、歯並びやかみ合わせが適応できないことになるのです。現実的には全く後戻りさせないということは不可能ですが最少にすることは可能です。後戻りには個人差がありますので、いつまでリテーナーを使用するかは歯科医と相談の上決めてください。

隣り合う2本の歯がくっついている歯を癒合歯といいます。2本の歯のつなぎ目がはっきりしている場合と、つなぎ目がはっきりせず大きな1本の歯のように見えることもあります。多くは乳歯ですが、まれに永久歯にもみられます。ほとんどは前歯にあらわれ、上より下の歯に多い傾向です。原因は明らかになっていません。
癒合歯に特別な処置をすることはあまりありませんが、いくつか気をつけることがあります。

    1. 癒合している部分は溝状になっているので、そこに汚れ(プラーク)が溜まりやすくなり、むし歯になるリスクは高くなります。見えない歯の裏側までしっかり磨きましょう。
    2. 乳歯の癒合歯では生えかわる永久歯が1本少なくなることがあります。歯の数が少なくなるので歯並びに影響することがあります。
    3. 永久歯の生えかわりがうまくいかないことがあります。乳歯が抜けるべき時期に自然に抜けないことがあるので、その時は抜歯する必要があります。

特に処置が必要ないといってもレントゲン写真をとって永久歯の数を確認して起こりえるリスクを予想し、定期的に経過を見ていくのがいいでしょう。

歯の神経の治療をした場合、または、治療はしていないのに歯の神経が死んでしまった場合に、歯の色は徐々に黒ずんできます。この方は過去に歯をぶつけたことがあるので、おそらく、その時の衝撃で神経が損傷をうけ、死んでしまったと考えられます。まずは歯科医院で診査し、本当に神経が死んでいるのか、破折などしていないか調べます。そして痛みや腫れがなくても、早めに神経の治療を受けてください。大切な治療です。
その後は見た目の改善、きれいな歯にするための治療になります。通常、神経がない歯は強度的に弱くなっているので、多くは土台を立ててから被せ物をします。これにより歯の形や向きなどの改善もできます。
しかし、歯質が多く残っていて、かつ、なるべく削りたくない場合は、漂白(ブリーチ)をするという方法もあります。ただ効果には個人差があるので、隣り合う歯と同じ色にならないこともあります。メリット、デメリットがありますのでよく相談してから決めてください。

この場合腫瘍は考えにくいと思います。歯ぐきの腫れの原因の多くは歯肉炎、歯周炎です。
歯肉炎は炎症が歯肉のみにみられる場合で、歯肉の発赤、腫れ、出血等の症状がみられます。歯周炎は歯肉炎が進行した状態で、炎症は歯槽骨(歯を支える骨)まで進み、歯槽骨の吸収がおこります。腫れ、出血に加え、進行度合いによって歯の動揺(揺れ)、排膿がみられます。
歯ぐきは疲れやストレスに敏感で、体調が悪いと症状が出やすくなります。普段は大丈夫でも体の免疫力が低下しているときは、いつも抑えられていた細菌に感染しやすくなり、歯ぐきが腫れることがあります。歯ぐきが腫れたら、しっかりと休養をとる、バランスのとれた食事をとるなど生活を見直すいい機会ですね。
しかし、疲れで腫れる所はもともと歯周炎(歯肉炎)になっているところと考えたほうがいいでしょう。普段からしっかりと口腔ケアをするとともに定期的な受診をしてください。

最近人気のホワイトニングですが歯にしみるとか、歯によくないのではと心配される方も多いと思います。
ホワイトニングで使用する薬剤は過酸化水素、過酸化尿素でオキシドールの仲間です。自己流でホワイトニング剤を使うと、むし歯を悪化させたり、歯ぐきを痛めたりすることはありますが、歯科医院で説明を聞いて取り扱いに注意すれば特に心配することはありません。
お子さんのホワイトニングですが、歯の根っこ(歯根)が完成していない段階では行いません。まだ乳歯や幼若永久歯に対する影響がはっきりわかっていませんが、薬剤が歯根の形成に影響する可能性があると言われています。
歯根が完成する時期は14~16歳ですが(親知らずを除く)、かなり個人差がありますので、原則的にはホワイトニングは成人が対象になります。

インプラントとは歯を失ったあごの骨に埋入する人工の歯根のことです。インプラントを埋入しそれを土台にして人工の歯を入れるのがインプラント治療です。インプラントを埋入するにはその場所にある程度の骨の量と硬さが必要です。それらを調べるためにまずは検査をします。
上顎の奥歯(臼歯)はその上部、歯根の近くに上顎洞という穴があります。上顎洞が大きい場合などはインプラントを埋入する場所の骨の量が少ないことがあり、その場合、上顎洞底挙上術(サイナスリフト)により骨の量を増やすことがあります。サイナスリフトとは上顎洞の底の粘膜を持ち上げてできた空洞に人工骨や自家骨などを移植する方法です。約半年後に再び検査をして骨が定着しているか確認をします。
サイナスリフトは上顎洞の形態等により、適応しない場合があります。個人差がありますのでまずはご相談ください。なお、サイナスリフト、インプラント治療とも保険適応外の治療になります。

5~8歳頃、前歯8本(上下4本ずつ)が乳歯から永久歯に生え変わります。乳歯が抜けた後に永久歯が生えてくるのが理想ですが、乳歯が抜けないまま永久歯が内側から出てくることもあります。この場合乳歯はなるべく早く抜きます。内側に生えた永久歯は多少前方に動くこともありますが、他の歯とそろってきれいに並ぶことは稀です。
乳歯のときにきれいに並んでいた前歯がガタガタになって心配される方も多いですが、すぐに治療を必要としないケースが多くあります。乳歯の時にすきまのない歯並びのお子さんは大きな永久歯が生えてくるとどうしても真っすぐには並びません。他の永久歯の生えかわりを待ち、顎の成長をみながら経過観察をし、その後全体的に矯正治療をします。この時期に前歯だけをきれいにしても奥歯や犬歯が永久歯になると、また歯並びが悪くなることがほとんどだからです。
しかし、例外もあります。極端に顎が小さい場合は早くからひろげたり、上下のかみ合わせがよくない場合は、早くから治療を開始します。

一般的な矯正治療は歯に装置をつけてワイヤーで動かしますが、この時歯を歯槽骨(顎の骨の一部)の範囲内でしか動かせません。ですから上下の顎の骨自体のズレが大きい場合、咬み合わせをよくするためには歯の矯正だけでは困難が生じます。そこでそのような場合、手術を併用して歯の土台である顎のズレを治し矯正治療をします。これが外科的矯正です。重症の受け口(下顎前突)、出っ歯(上顎前突)、開咬、顔面非対称の方など骨格的問題をもつ場合に検討します。
矯正治療は手術をはさみ、術前矯正と術後矯正に分かれます。それぞれ1年から1年半かかります(かなり個人差があります)。
外科的矯正のメリットは、重症なケースでも歯に無理な負担をかけることなく良いかみ合わせが得られること。また、顔貌の改善が期待できることです。デメリットは、入院等身体的負担があることと手術のリスクに対する心配でしょう。当院では治療を決める前に口腔外科の先生の話を聞いて不安を解消、納得していただいてから始めるようにしています。

口腔がんとは、お口の中にできるがんのことです。舌、歯肉、頬の粘膜、唇、顎骨などに発生しますが、一番多いのは舌(特に舌の横や裏)です。初期に痛みもなく気がつきにくいため、長い間放置してしまうケースも少なくありません。
通常、口内炎は2週間で治りますが、2週間以上経っても治らない時は要注意です。ごく稀にこの口内炎が「前がん病変」(がんではありません)になり、さらにその一部が口腔がんになることがあります。すぐにがんになるわけではなく、口内炎ががん化するまでには5年以上かかります。
では、口腔がんになりやすいリスクとは何でしょうか?口腔がんになりやすいのは「慢性的な刺激」を受けている場所です。被せ物や入れ歯が舌や歯肉に当たり傷つけている、傾いている歯が舌にぶつかる、唇を噛んでしまうなどです。それらに加え、歯周病、不潔な口腔状態、偏った食生活も粘膜を弱くします。特にお酒とタバコは粘膜によくありません。
口内炎ができても怖がることはありませんが、リスクを減らして口内炎ができにくい環境をつくってください。

グラグラの乳歯が抜けないととても気になるものですよね。前歯ですと特に食べ物をかじりにくくなるので、お子さんも食事時に気をつかうようになると思います。
基本的にグラグラしてきたからといって抜く必要はありません。自然に抜けるのを待ちます。しかし、乳歯が抜けないのに永久歯が生えてきたときは抜く必要があります。食事するのに不便なとき、歯みがきがしづらいときには抜くことをお勧めしています。
通常は永久歯の萌出する力によって、乳歯の根っこが徐々に溶けてなくなり自然に抜け落ちますが、永久歯の位置が少しずれると乳歯の根っこが溶けないことがあります。このような歯の出かたは歯並びに影響するので、なるべく早く抜いたほうがいいです。抜く前にはレントゲン写真を撮り乳歯の根っこと永久歯の状態を確認します。
歯の生えかわりは12歳くらいまで続きます。前歯はわかりやすいですが奥歯だとわかりにくいので気をつけてくださいね。

指しゃぶりは生後2カ月ごろから始まり、2才以降は減少傾向になるという報告があります。しかし、大きくなっても強い指しゃぶりが続くと歯並びに影響がでてきますので注意が必要です。主に開咬(前歯がかみ合わない)や上顎前突(出っ歯)ですが、さらに2次的な影響がでて、これらがさらに歯並びを悪化させるという悪循環になります。
では指しゃぶりはいつ頃止めるべきでしょうか?3才を過ぎると社会性がめばえ、徐々に止めるお子さんも増えるので、4才をめどに考えています。
まず止めなければいけない理由を説明します。必要以上に心配・不安にならないよう配慮しながら、自分の口の中を知ってもらい、止めるとどうなるのかを話します。
お子さんが指しゃぶりをするには何らかの理由がある場合が多いと言われますが、その対応は歯科医師には限界があります。吸っている指をおかあさんの手やお気に入りの物に置きかえる、スキンシップをふやす、絵本の読み聞かせをするなど、心理的アプローチとともに改善を期待しながら、歯並びの影響の変化を観察していきます。

歯ぎしりというと、大人がするものというイメージがあるかもしれませんが、子供も意外と多くします。ほとんどは生理的なものなので心配いりません。成長とともに自然に消えていくものです。
歯ぎしりはいろいろな原因(リスクファクター)が重なることでおきるとされていますが、その中の重要な因子に「睡眠」があります。睡眠時間が不足している、起床就寝時間が不規則、環境の悪い部屋(うるさい、明るい等)で寝ているなどの悪い睡眠習慣があると歯ぎしりがひどくなると言われています。テレビゲームを1日3時間以上している、塾や習い事が毎日ある、などもリスクファクターになるという調査報告があります。
お子さんの歯ぎしり自体は特に心配いりませんし、歯ぎしりにより歯が削れることも乳歯であればよくあることです。しかし、エナメル質が削れた乳歯はむし歯になりやすいので気をつけてください。定期的な観察が必要です。また、永久歯の歯並びが悪く、歯ぎしりの影響を受けやすい場合は矯正治療をしたほうがいいでしょう。

お茶がないと飲み込みにくくなった、口臭が強くなった、夜中にのどが渇いて目が覚める、口内炎ができやすくなった、むし歯が増えたなどの症状があれば、唾液が減ってきたのかもしれません。唾液は1日1~1.5ℓも作られます。お口を清潔に保つ、お口の粘膜を守る、消化を助ける、飲み込みやすくするなどお口での働き以外にも、感染症を予防する、食道や胃の粘膜を保護するなど全身へも作用します。
唾液の分泌が減る原因は様々ですが、唾液腺の病気やがん治療の障害など特殊なケースを除けば、加齢、舌や口の周りの筋肉の運動不足や衰え、持病の薬の副作用などがほとんどです。口呼吸も影響します。
唾液をふやすにはよく噛むこと。噛むことによって唾液腺が刺激され唾液がよく出るようになります。筋肉が鍛えられるとさらに刺激が伝わるようになります。耳の前や顎の下をやさしく押す唾液腺マッサージも効果的です。水分をしっかりとることも忘れないで下さい。お口の渇きがつらい方は口腔保湿剤をお試し下さい。ジェル、スプレー、うがい薬タイプがあります。

糖尿病とはインスリンの作用不足により血液中の糖(血糖)が高くなることにより様々な症状がでる病気です。一方歯周病は細菌の出す毒素により歯を支える骨が溶けてしまう病気で、細菌の感染が延々と続いている状態「慢性感染症」です。どちらも生活習慣病である、自覚症状がなく進行する、多くの合併症を持つという共通点があります。
歯周病と糖尿病は相互関係があり、歯周病は糖尿病を悪化させ、糖尿病は歯周病を悪化させることが分かっています。つまり、両方の治療が双方に好影響を与え相乗効果を生み出すのです。
歯周病の基本治療はクリーニング、ブラッシングですが、進行状況に応じて治療方法は変わってきます。糖分の多い食習慣を見直す、禁煙する、精神的ストレスの緩和などは糖尿病の治療と重なります。歯周病で突然歯が抜けるのではなく、長い間ケアをしなかったためにそうなるように、糖尿病も発症は中高年者でも予防には若いうちからの生活習慣の改善が必要です。正しい歯みがき、定期的な検査、良い血糖コントロールで、ずっと自分の歯で食べられるようにしましょう。

朝起きた時にあごが疲れていること、ありませんか?もしかしたら就寝中に歯ぎしりをしているのかもしれません。歯ぎしりは日中に受けたストレスを発散させる行動とも言われ、睡眠の質や薬の影響、飲酒、喫煙なども関係するとされています。歯ぎしりは無意識下で行われ、自分ではコントロールできません。そしてとても強い力が歯に加わるので、歯を痛める、被せ物が壊れる、歯周病が悪化する、そして場合によってはあごの関節に影響がでることがあります。
そこで歯やあごに加わる過剰な力を減らすために「ナイトガード」を使用します。多くはアクリル樹脂で製作され上あごに装着します。ナイトガードは歯の代わりに削れて歯を守ってくれる消耗品です。穴があいたりひびが入りますので、修理や作り直しが必要になります。使用中は必ず点検してもらってください。

歯周病は細菌の感染によって歯ぐきに炎症が生じ、さらには歯を支える骨が壊れる病気です。たしかに歯周病になる人は中高年から増加します。ある調査によると20~30代では約3割ですが、50代では半数を超え、60代では6割以上という結果がでています。
これは ①歯ぐきの免疫力の低下
②歯ぐきの細胞の老化 ③歯ぐきの血管の変化
が関係すると考えられています。
それに加え長年の生活習慣(喫煙など)の蓄積や全身の病気(糖尿病など)の影響があります。
しかし、加齢によりみんなが歯周病になるわけではありません。
歯周病の原因であるプラーク(歯垢)と歯石(プラークが石灰化したもの)をきちんと除去できれば歯周病は防げます。
そのために大切なのは正しい歯みがきとクリーニング、定期的なメインテナンスです。

歯みがきはむし歯予防のために欠かせないものですが、まず安全でなければならないので、仕上げみがきは暴れるお子さんを無理やり押しつけてやるわけにもいきません。まずはお母さんお父さんが歯をみがいてるところを見せて興味を持たせ、好きなビデオを見ながらするなど楽しい雰囲気の中で行なってください。歯みがき粉をいくつか用意しておいて選ばせるのもいいかもしれません。
仕上げみがきを嫌がるお子さんの中には「痛いからイヤ」ということもあります。仕上げみがきは必ず親御さんのひざの上にお子さんをあおむけにして、しっかり見える状態にしてください。上の前歯と唇の間のひだ(小帯)にブラシがあたると痛いので、指で保護しましょう。奥歯をみがくときも頬をしっかりよけましょう。爪があたらないよう指のはらでやさしく、です。歯みがきに力はあまり必要ではありません。ブラシの毛先をしっかりあてて小刻みにやさしく動かすことが大切です。
仕上げみがきができない日があってもすぐにむし歯になるわけではありません。歯みがきに慣れるまで焦らず気長にがんばりましょう。

メインテナンスは歯周病やむし歯などお口のトラブルを未然に防ぐ、または早期に発見し処置するためにとても大切です。
例えば歯周病の場合、治療が終わったとしてもそれは完治したのではなく安定期に入っただけなので、再発しないようきちんと歯肉の検査をして経過をみていく必要があります。
検査の後は、プラーク(歯垢)や歯石の付いている場所を確認して歯みがきの練習をします。この時自分でも気が付かない「みがき癖」を教えてもらいましょう。磨いているつもりが磨けていなかったということはよくあります。その後、歯科衛生士が、歯みがきではとることのできない歯周ポケットの中の汚れや歯石をとります。この歯ぐきの中の歯石やプラークこそが歯周病の原因です。最後に歯をピカピカに磨いて終了です。治療が必要な時は歯科医師が行ないます。
治療後の良好なお口をいつまでも保てるよう、ぜひメインテナンスにお越しください。

癒合歯とは、隣り合う2本の歯が癒合(くっついた)状態で生えている歯を言います。これに似ているものに癒着歯があります。前者が歯の内部の歯髄(神経)が共通しているのに対し、後者は歯髄は別々に存在し表層のみでくっついています。これらは永久歯に出現するのは珍しく多くは乳歯に見られます。
癒合歯は2本の歯が重なり合うところに溝(くぼみ)ができますので、汚れが溜まりやすくむし歯になりやすいので注意が必要です。しかしそれ以外に気をつけることも処置も必要ないので、多くは経過観察のみになります。乳歯の癒合歯自体は特に問題となることはないのですが、次の永久歯がどうなるのかが心配になります。事実、癒合歯のあとの後続永久歯が足りないことが多々あります。生え変わりの時期にはレントゲン撮影をして後続永久歯の数、位置等を確認し、うまく生え変われるように気をつけます。
残念ながら永久歯の数が不足している場合は、上下および左右のバランスが違うということになるので、状況によっては矯正治療も検討します。

大まかに言えば、反対咬合(受け口)、極端な上顎前突(出っ歯)、開咬(上下の歯が咬んでいない)、萌出障害(何らかの原因により歯が出られない)などは早めに治療を開始した方がよいでしょう。しかし同じような歯並びに見えても、あごの大きさ、上下のあごのバランスが違えば、治療方法も開始時期も異なります。
矯正治療は小・中・高校生から始めることが多いので、治療期間が数年かかるとすればどうしても受験時期に重なることになります。装置をはじめてつけたときは数日から一週間ほど痛みがありますが、1か月もすれば完全に装置に慣れるので、この時期が受験に重ならなければ特に心配はいりません。心配な方は受験が終わってから始めています。患者さんのご希望によっては受験の数か月間は来院間隔や治療内容をコントロールすることもできます。
矯正治療はどんな装置を使うにしても、患者さんご自身の理解とやる気が必要です。本当に歯並びを治したいと思った時が、最適な開始時期と言えるかもしれません。

セラミックは陶材でできた歯で、本物の歯と見分けがつかないほどの透明感のある被せ物です。一番のメリットは美しい見た目です。また、表面は滑沢で汚れ(細菌)が付きにくく、むし歯や歯周炎になりにくいと言えます。保険の白い被せ物が数年で変色してくるのに対し、色の経時的変化及び金属の被せ物におこる歯肉の黒ずみもありません。
とても良い素材の歯ですが、セラミックはとても固い物なので、欠けやすいというデメリットがあります(種類によっては欠けにくい物もあります)。噛み合わせの力の強い方、歯ぎしりをする方は注意が必要です。また保険の適応ではありません。
セラミック自体はとても強く変化の少ない物なので長持ちしますが、セラミックを付けている接着剤(セメント)は劣化します。そして歯の状況(根っこや歯肉の状態)によりセラミックのもちは変わってきます。口腔の清掃状態がよく定期的なメインテナンスをしていれば10年以上もつ方も少なくありません。

お子さんの歯並びに関するご質問で多いのが、「治した方がいいのか?」「何歳で始めるのがいいのか?」です。治した方がいいのは、機能的な問題がある場合、また永久歯の萌出に支障がある場合などです。これらは早めに治療を開始します。前歯にすき間がある、少し曲がっているなど審美的な問題は、程度にもよりますしご本人が気にしているかどうかも関係しますが、多くは早くから始めなくてもいいでしょう。
矯正治療をするときは歯並びだけでなく、骨格的な問題、顎の大きさ、バランス等を考慮します。一見同じように見える歯並びでも治療方法も装置も違うことはあります。治療が必要か、いつ開始した方がいいかは、諸々の状況を考慮して決めるので親御さんが判断するのは難しいでしょう。心配な場合は受診をおすすめします。
3歳のお子さんの反対咬合では使用装置も限られますしお子さんの負担も大きいので、今は経過観察でいいと思いますが、いつまでかは分かりません。かかりつけ歯科医院での定期的な観察が必要です。

テレビのCMなどではそんなイメージを持たれると思いますが、歯みがきのあとに使うのが理想的です。歯周病は細菌の塊(バイオフィルム)であるプラークが原因ですが、この塊(バイオフィルム)があると洗口液の殺菌成分が届きづらくなるので、洗口液の使用前に歯ブラシで物理的にバイオフィルムを取り除く必要があります。
洗口液を選ぶ際にまず気をつけてほしいのが、液体ハミガキと混同しないこと。液体ハミガキは歯みがき前に使うもので、使い方が全く違います。また使いたい理由、歯ぐきの炎症を抑えたいのか、むし歯を予防したいのか、など目的をはっきりさせると洗口液を選びやすくなります。使う時は使用方法をよく読んで、記載されている時間しっかりすすいで下さい。多くは20~30秒ですが、意外と長く感じるものです。
洗口液は絶対に使わなければいけないのもではありません。歯みがきの補助と考えて下さい。そして歯周病には歯科でのケアーは必須です。

歯周病(歯槽膿漏)は細菌による感染症で、歯を支える組織(歯槽骨など)を破壊する病気です。細菌のかたまりであるプラークや歯石を取り除くことが最も確実で効果的な治療法です。
歯周病は急に進行する病気ではありません。最初は炎症が歯ぐきのみにとどまる歯肉炎。それが進行すると歯槽骨を少し破壊する軽度歯周炎となり、さらに進行すると中等度、重度歯周炎になります。各ステージでスケーリング( 歯石除去)は最も大切ですが、それぞれ治療内容は異なってきます。重度になると歯は抜ける寸前。治療はたいへん困難になります。
歯肉炎のうちに治療をすればもとの健康な状態に回復しますが、歯周炎になると失われた歯槽骨を取り戻すのは難しくなります。ただし炎症を止め再発を防いで現状維持していけば歯を守ることはできます。歯周炎の治療は、早期にとりかかるのがとても大切なのです。

矯正治療はきちんとしたかみ合わせをつくるとともに、審美的な口もとの獲得を目標に行われます。いくつになっても歯槽骨(歯を支えるあごの骨)がしっかりしていれば歯は動きます。
かみ合わせをよくすることで、セルフケアしやすくなり、むし歯・歯周病になりにくくなります。結果、将来自分の歯を多く残せる可能性が高くなります。また、よい歯並びは機能の改善だけではなく、美しい口もと・笑顔を生みます。これは特に大人の患者さんのご希望であり、喜びでもあります。
しかし、歳を取ると骨の再生が遅くなり、歯ぐきも弱くなってくるので、大人の矯正はゆっくり動かすなどの配慮が必要です。また、顎の成長を利用することができないので、抜歯して治療するケースもやや多くなります。矯正治療前には歯周病の治療が必要
であったり、矯正治療後には被せ物を作り直していただくこともあります。
「子供の頃から気になっていたけれど機会がなかった。でもやっぱりきれいにしたい」とスタートする大人の患者さんが今、たくさんいらっしゃいます。今更遅い…なんてことはありませんよ。

数年間をかけて矯正治療をし、きれいな歯並びになった後はリテイナーを使います。歯は「後戻り」といって、もとの位置に戻ろうとする動きをします。この後戻りを防ぎ、きれいな状態を維持するための装置がリテイナーです。リテイナーには可撤式(取り外しタイプ)と固定式(つけっぱなしのタイプ)がありますが、患者様の歯並びやお口の環境を考えて選択します。
可撤式リテイナーであれば、最初の1年は1日中(食事・歯みがき以外)の使用、その後は徐々に時間を減らし2年後には就寝時のみの使用となります。後戻りのしやすさには個人差があります。見た目には何も変化がないようでも、いつの間にかリテイナーが合わなくなってしまうこともありますので、油断しないで指示どおりしっかり使ってください。
固定式タイプは着脱の手間も違和感もなく楽ですが、歯みがきに注意が必要です。歯石が付きやすいので、必ず半年に一回はクリーニングを受けて下さい。
また、この時期には半年~1年に1回、歯並びとリテイナーのチェックをします。受診しないで患者様個人の判断での長期間の使用は避けてください。

むし歯が大きかった場合、詰め物では対応できないので被せることになります。被せ物には白い物と金属の物があり、それぞれに保険の物と自費の物があります。
金属の物は強度があり、破折がほとんどないという利点がありますが、金属色の見た目が気になるという方も少なくありません。また、金属アレルギーの方には使えません。白い物は若干強度的には劣るものの、近年改良は進んでいるので、耐久性・摩耗性等問題はありません。何しろ見た目がよく、アレルギーの心配もありません。特に自費のセラミックの物は、自然な色で審美的には特に優れているうえ、細菌が付きにくい表面性状であるという利点があります。ただし硬すぎて破折することもあるので、歯ぎしりや食いしばりなど強い力がかかる方にはおすすめできません。
被せ物をするときには、歯だけの問題ではなく、歯ぐき(歯周炎)やかみ合わせの問題も考慮しなければいけないので、かかりつけの歯科に相談して決めてください。

これは本当です。でも赤ちゃんにカルシウムが取られるからではありません。妊娠中はつわりで丁寧な歯みがきが難しくなったり、味の好みが変わり甘い物すっぱい物を食べる機会が多くなったり、間食が増えたりします。また、妊娠中はホルモンの影響で唾液が減るので、自浄作用や再石灰化作用が弱くなるなど、むし歯や歯周病になりやすい条件がそろうのです。実際、歯痛に悩んだり、歯ぐきが腫れる方も少なくありません。それでも「赤ちゃんに何か影響があるのでは?」と歯科受診を躊躇してしまい、結果ますます状態が悪化することがあります。
妊娠の時期により応急処置にとどめることはあります。そして麻酔薬や処方する薬も考慮しますが、妊娠中でも基本的には通常の歯科治療が受けられます。レントゲン撮影をしても問題はありません。
受診するときは、妊娠中であることを必ず伝えて下さい。また産科の主治医にも歯科治療を受けていいか相談しておきましょう。できれば慌てることがないよう妊娠前からクリーニングやメインテナンスをして、いつも健康なお口でいたいものですね。

歯の表層の硬いエナメル質が、欠けたり削れたりすることにより、外からの刺激が神経に伝わってでる痛みが、知覚過敏です。
知覚過敏のリスクは①歯ぎしり・食いしばり ②強い力での歯みがき ③研磨力の強い歯みがき剤の使用 ④歯みがき不足 ⑤酸性の飲食物の多量摂取 などです。
症状や歯の状態によっては、詰め物をしたり、噛み合わせの調整、マウスガードを使い歯ぎしりの影響を和らげたりしますが、原因が見つからない場合は、まずは生活習慣の改善をします。その次に薬剤の試し塗りです。症状の軽いケースはこれだけでよくなることもあります。
しかし、薬剤を塗ったあともしばらくは冷たいものにしみるなど治癒までに時間がかかることも少なくありません。様子をみながら段階的に治療を進めていきます。

矯正治療を始めたいけれど治療に踏み出せない理由の一つに、「痛み」がある方が多いようです。でもご安心ください。治療期間中のほとんど、痛みはありません。
装置をつけて最初のワイヤー(針金)が入った時は、慣れるまでの数日から1週間ぐらい痛みがありますが、比較的強い痛みがあるのは、つけた翌日の1日だけ。その日をピークに徐々に痛みはなくなっていきます。次の来院時(約1か月後)には「装置にすっかり慣れた。痛みもない。」と皆さんおっしゃいます。時々は「全然痛くなかった」という方もいるほどです。念のため最初のワイヤーが入る次の日は、テストや試合、旅行など大切な行事がない方がいいでしょう。
その後の治療では、来院時にワイヤーを換える、あるいは換えずに調整します。ワイヤーを換えたときは多少痛みがでますが、これもすぐに慣れます。ワイヤーを換えずに調整した時は軽く締め付けられた感じがします。
矯正治療は長期間かかりますが、その間の痛みに関してはどうぞ心配しないでください。

歯みがき剤は年々改良が重ねられ、推奨される使用量も多くなっています。現在、日本の歯みがき剤の90%にフッ素が入っていますが、これはフッ素がむし歯予防に効果があるからです。これまでの歯みがき剤には1000ppm以下のフッ素濃度が定められていましたが、2017年3月に1500ppmの配合が認められました。よりむし歯予防の効果が期待できるようになったのです。1450ppmの歯みがき剤の使用量の目安は15才以上の方で2cm、6~14才では1cm。メーカー自主基準では「6才未満のお子さんの使用は控えていただく」ことになっています。
効果をあげるにはいくつかのコツがあります。まず、毎日使ってください。特に寝る前の使用が効果的です。そしてお口の中のフッ素を流しだしてしまわないようにすすぎは最低限に、なるべく1回にしましょう。
むし歯になりやすい方はフッ素配合のジェルや洗口剤を併用してもいいと思います。フッ素がお口にとどまりやすく効果がアップしますよ。使い方など心配なときは歯科医院に相談して下さい。

これは「初期むし歯」の可能性があります。奥歯だと溝が茶色になる、前歯だと表面が白く濁るなどの変化がありますが、見た目にはわかりにくく、また痛みもありません。これが進行すると穴があいてしまうむし歯となり、削って詰める処置が必要になります。
初期むし歯はザラザラするものの穴はあいていない状態なので、削らないで経過をみていくことになります。この段階であれば、毎日のセルフケアで歯を修復し進行をくい止めることができるし、元のように改善することもあります。初期むし歯を修復するにはフッ素が有効です。フッ素入りの歯磨き粉やジェルの使用、歯科医院で高濃度のフッ素塗布などです。また油断をすると進行してしまうので定期的にチェックしてもらって下さい。
初期むし歯になってしまったのには原因があります。多くは歯みがきの仕方に問題があるでしょう。他に、食生活に問題がないか、フッ素を有効に使っているかなどいろいろな角度から考えてみる必要があります。

多くの場合5~7才頃に前歯は永久歯(大人の歯)に生えかわります。その後徐々に生えかわりは進み、12~15才頃には永久歯全てがそろいます。この永久歯の生えかわりは、うまくいくのが当たり前だと思われがちですがそうでもありません。過剰歯(余分な歯)は30人に1人、先天性欠如歯(歯の数が足らない)は30人に1人というデータがあります。また、歯の数は正常でも、傾きや位置の異常な歯も意外に多いものです。
これらの異常は放っておくと、周りの健全な永久歯を傷つけてしまうという他に、歯ならびやかみ合わせを悪くする可能性が大きいのです。しかし、7~8才でレントゲン(歯全部が写るパノラマレントゲン)を撮れば、これらの異常を早く知ることができるので、早期にまたは経過をみながら必要に応じて適切な時期に手を打つことができます。お子さんの成長をみながらの長い治療になりますが、それだけ改善のための時間的余裕と治療の選択肢が多くなる、ということでもあります。

歯の清掃で歯ブラシを使うのは当たり前だと思いますが、デンタルフロス(フロス)を使っている方は多くないと思います。「私はしっかり磨いているから大丈夫」という方、一度フロスを使ってみて下さい。意外と汚れ(プラーク)が残っていることに気がつくはずです。歯ブラシでは落としにくい①歯と歯の間 ②歯ぐきの溝の中にフロスは威力を発揮します。
フロスには、糸巻きタイプとホルダータイプがあります。ホルダータイプの方が手軽に使えますが、慣れれば糸巻きタイプの方がいいと思います。またさらにワックス付きとワックスなしのものがあります。フロスの使い方のポイントは、通すだけではなく、こすり取ること。フロスを止まるところまで優しく入れて、歯のカーブにそって上下に動かします。歯の溝の中のプラークまでしっかりこそぎ落とすようにフロスを動かしましょう。
ご自分に合ったフロスはどれか、使い方が分からないなど疑問があれば歯科医院に相談して下さい。

まずは「初診」の予約を取って下さい。お口の状態をみながら、治療の必要性、治療のメリットやデメリット、期間や費用について大まかな話をします。ご希望があれば次は「診査」に進んでいただきます。顔やお口の写真撮影、X線撮影、模型製作のための型取りなどをします。そして後日、診査結果の説明をします。患者さんの歯が今どういう状態なのかお話して、効果的な治療方法・装置をご提案します。また治療期間や、費用についての説明もします。
矯正治療を開始することになれば、歯みがきの練習・クリーニング、むし歯の処置などの「準備」をし、「装置を装着」していよいよ矯正治療のスタートです。
装置が付いてしまえば、だいたいは1ヶ月に1回の来院で装置を調整し、歯みがきができているかなどのチェックをします。
歯並びとかみ合わせがよくなったら装置を外しますが、かわりに歯並びを安定させるための「リテイナー」という取り外し式の装置を使います。この時の来院は、3~6ヶ月に1回になります。

ご兄弟で来院されている方をみると、たしかにむし歯の数に大きな違いがあることがあります。そもそもどうしてむし歯になるのでしょうか?むし歯には①むし歯菌の数・強さ②むし歯菌の餌になる糖分③むし歯菌に抵抗する強さ④時間 が関係します。同じように甘いものを食べ、同じように歯みがきをしていても③の違い、つまり唾液の性状や量、歯の質、歯並び、フッ素の使用の有無などにより違いがでてくるのです。
唾液は食べかすや細菌を流したり、細菌の繁殖をおさえたり、むし歯予防にとても大切です。唾液の量が多く、唾液の力(中和作用)が強いほどよく、反対に量が少なく力が弱いほどむし歯になるリスクは高くなります。磨いているのにむし歯になりやすいと感じている方は、唾液の量が少なく力が弱いのかもしれません。
でもこのように不利な条件の方も、それに合わせた予防をすれば心配することはありません。歯並びに合わせた歯みがき練習、歯科医院での定期的なクリーニングとフッ素塗布を受け、おやつや甘い飲み物の取り方に注意しください。むし歯になりやすい方でも、むし歯ゼロは可能です。

詰め物の形態、場所、その他諸々の状況によっては、取れやすいということもありますが、数年もたっているのであればむし歯や食いしばりが考えられます。
一番多い原因はむし歯です。詰め物はむし歯になりませんが、詰め物のまわりはむし歯になります。詰め物の周囲に汚れがついていると詰め物と歯の境目からむし歯になり、徐々に歯を溶かしていきます。すると境目には段差ができ、さらに汚れがたまりやすくなるという悪循環になります。むし歯が進行しついには詰め物が取れる、というわけです。
もう一つ考えられる原因は食いしばり(噛み癖)です。就寝中の歯ぎしりのように習慣的なものは、歯と詰め物にかなりの負担をかけます。この大きな力は歯をすり減らしたり、詰め物をとれやすくします。この場合マウスピースを装着して歯を保護することもあります。
詰め物がはずれた場合、なるべく早く受診してください。はずれたところからさらにむし歯が進むと、治療が複雑になり時間がかかるようになります。

乳歯列期(子供の歯)からの理想的な成長が、永久歯(大人の歯)の正常咬合に必要ですが、実際は子供の成長発育をみていくとそうなることは少なく、途中で何らかの異常がでてくることがあります。そして成長のある時点で現れた異常が、永久歯の不正咬合(よくない歯ならび・かみ合わせ)につながっていくことがあります。その種類、発生時期は人様々ですが、共通して言えることは、現れた異常に早期に対応し、治療もしくは経過観察をしたいということです。
早期から診たい例として、永久歯の生えるスペースがないケース、変な場所(内側など)から永久歯が萌出したケース、習癖(指しゃぶり・舌癖)があるケースなどです。かみ合わせで言えば、受け口や開咬(歯がかんでいない)などです。これらのうちいくつかは直ぐに治療にかかりますが、いくつかは経過をみて然るべき時期に治療を開始します。早く治療を始めれば早く治り、永久歯になって矯正治療が必ず必要でなくなる、ということではありません。異常な成長発育を防ぎ、永久歯になってからの治療を楽にするのです。
ベストな治療開始のタイミングを見逃さないためには、成長期のお子さんであれば気になるところがなくても定期的な受診をおすすめします。

治療が終わった後も、治療後の経過を診てケアをするために定期的に予約をとっていただいています。このメインテナンスは、快適になったお口をより長く維持するために行われている、診察と検査、そしてクリーニングがセットになった歯科のケアシステムのことです。3~6ヶ月に一度、患者さんの症状に合わせた間隔で行います。
検査とクリーニングの主な担い手は歯科衛生士です。患者さんのお口の中を診て検査し、ホームケアできているか確認して、その方に合ったケア方法を提案します。歯周ポケットの深いところはどこなのか、磨き残しの多いところはどこなのか、把握できている方は少ないと思います。どんなによい詰め物や被せ物をしても、プラークが大量にあるお口であれば、新たな問題は必ず起こります。自分のお口の弱点を知りケアすることが治療を成功させるカギなのです。
上手な歯みがきのコツが分かった後は歯科衛生士がクリーニングします。歯のプロが器械を使って行うクリーニングは、治療や予防に効き目のあるレベルまでお口をいったん徹底的にきれいにするものです。歯のツルツル感、爽快感をぜひ味わってください。この本来の気持ちよさの発見でその後のケアも変わってくると思います。

乳歯がむし歯になっているということは、口の中にむし歯菌がたくさんいるということです。このむし歯菌はこれから生えてくる永久歯をむし歯にしやすくします。さらに乳歯のむし歯が根っこにまで広がると、その下にある永久歯が感染してしまいます。むし歯菌に感染した永久歯はそうでない歯に比べ、むし歯になるリスクが高くなり、ひどいときは、エナメル質形成不全をおこすこともあります
また、乳歯のむし歯は歯ならびにも影響します。むし歯がひどくなって早く抜けたり、大きく欠けたりすると、永久歯の生える場所がズレてしまい、結果、叢生(ガタガタ)になります。
乳歯は軟らかく、歯の溝も深いので、むし歯は進行しやすいです。初めての治療は心配だと思いますが、早く受診した方が小さな治療ですみます。ごく小さなむし歯ならフッ素などを塗って、永久歯に生え変わるまで治療をしないで観察するだけですむかもしれません。理想的には、むし歯になる前に健診を受け、歯ブラシの練習から始め、歯医者に慣れておくといいでしょう。親子での予防健診がおすすめです。

私が子供の頃「3度の食事のあと3分以内に3分間歯を磨きましょう」と教わりました。でも今は、食後すぐに磨かない方がよいという見解もでてきました。食後は酸の働きによって歯の表面が溶けて柔らかくなっているので、その状態で歯を磨くと歯がすり減りやすい。食後30分位で唾液が酸を中和し、歯の表面の「再石灰化」がすすんだ後に磨くのが望ましい、というわけです。
しかし、中高年で歯ぐきが下がり歯の根がでている人や、酸蝕歯の人、また、特に酸性の強い食事をした時でなければ、すぐに磨いて問題ありません。唾液緩衝能の低い日本人には、30分後の歯磨きは合わないという見解もあるくらいです。
それよりもどう磨くかが大切です。歯みがきは食べかすではなくプラークを取り除くことです。プラークは18~24時間で取れにくくなるので、最低1日1回(特に就寝前)はしっかりと磨くこと。歯ブラシとフロスを使いすみずみまで磨きましょう。

現代では、からだの臭いへの関心が高まりつつあり、口臭を気にする人も多いようです。口臭には「生理的口臭」と「病的口臭」があります。
生理的口臭は、起床時や空腹時の口臭、緊張時の口臭、また妊娠時や月経時の口臭などがあります。水分や食事をとって唾液の量がふえれば、口臭も弱くなり、特に治療の必要はありません。
病的口臭は口や耳鼻咽喉科の病気の他、糖尿病、肝・腎機能障害などの全身疾患が原因のものもあります。しかし、口臭の90%は口の中に原因があるといわれています。その主なものは、歯周病、舌苔(舌の上のクリーム色の汚れ)、むし歯、不適合な被せ物、不潔な義歯などです。ガムやタブレット、洗口液などで一時的な対策はできますが、自分の口臭の原因を知り、根本的な治療を受けるようにしましょう。
また「心理的口臭症」と呼ばれるものもあります。「人が鼻をこすったのは自分の口臭のせい」などの強い妄想があるときは、精神神経科などの受診が必要になります。

矯正治療には抜歯(抜く)ケースと、非抜歯(抜かない)ケースがあります。抜歯ケースは、顎が小さい・歯が大きいなどの理由で歯がきれいに並ばず、乱ぐい(ガタガタ)になっている場合、また、上下の歯の前後的なバランスが悪い場合(極端な出っ歯、受け口など)です。
ガタガタの程度、出っ歯や受け口の程度によっては、歯を抜かないで顎を拡げるなどして治療しますが、限界はあります。その限界をこえて治療して一時的に満足できても、いずれ後もどりをしてしまいます。
歯を抜く場合は、抜くことによりかみ合わせがよくなり機能性が向上する上、審美的にもよくなる場合です。
もちろん我々もなるべく抜かないで治療したいと考えています。抜歯・非抜歯のボーダーラインのケースは歯を削るなどして抜かないで治療できることもあります。矯正は長期にわたる治療ですので、よく相談して納得してから始めてください。

むし歯のなりやすさは、①むし歯菌の量②食習慣、そして③唾液の量、フッ素の使用などが関係します。むし歯を予防するには、食習慣(おやつのダラダラ食べ、ジュースを飲む、飴をなめる)を見直し、フッ素を利用するなどしたうえで、歯みがきをしっかりして口の中のむし歯菌を減らすことが重要です。悪くなったら治療ではなく、むし歯を予防しようという意識が大切かと思います。
むし歯予防のひとつの方法として「シーラント」があります。奥歯の深い溝(むし歯になりやすいところ)を、薬で埋めてしまい、むし歯菌から守るものです。シーラントはすべてのむし歯に対する万全の予防法ではありませんが、とても有効な手段です。シーラントは、むし歯になる前の健全な歯に行いますので、生えてきたら早めに処置するのが望ましく、子供でしたら6~12才が理想ですが、特定の年齢や時期はありませんので大人の方もできます。
まず歯面を清掃し、薬品で歯の表面を処理します。次にシーラント剤を流し込み特殊な光で固め、最後にかみ合わせのチェックをします。シーラントはある程度の耐久性がありますが、取れることもありますので、定期検診は受けて下さい。

唾液の分泌量が減り、口の中が乾燥している状態を、ドライマウスと言います。緊張やストレスによる一時的な場合と、常に乾いている場合とがあり、3ヶ月以上続く場合をドライマウスと診断します。自覚症状は様々で、口の中がパサパサする、クッキーやパンが食べにくい、などの乾燥に直結したものから、口臭が気になる、虫歯が増えた、口内炎ができやすいなどの訴えもあります。
一番多いドライマウスの原因は、薬の副作用です。ストレス、老化、噛む力の低下なども原因として考えられます。治療法としては、まず薬剤の影響が疑われる場合は、医師に薬剤の変更が可能か相談して下さい。口腔内のケアも大変重要です。ブラッシングによる歯垢(プラーク)の除去、保湿剤を使った粘膜保護などです。アルコールのとりすぎに注意する、禁煙する、ストレスをためない、口呼吸をしない、正しい食習慣、食べるときはよく噛む、といったことも大切です。

むし歯が進行すると、歯の中心にある歯髄(神経)が虫歯菌に感染してしまうため、神経を取る必要があります。これが「根っこの治療」です。感染した神経をそのままにしておくと痛みは激しくなり、さらには炎症が周りの骨などに広がってしまいます。
根っこの治療は、まず感染した神経を取り除きます。次に、空になった根っこのなかをきれいにします。最後に詰め物(薬)でしっかり封鎖して、細菌が入ってこないようにします。神経を取るのは、針のような道具に神経をひっかけて引き抜く処置になります。前歯に比べ奥歯の神経は複雑で細いので、根気のいる難しい治療です。この時、神経を体の一部からちぎって取り除いているので、歯の周囲にある神経や歯根膜(歯を包んでいる膜)に傷がつきます。ですからこの傷が癒えるまでの多少の違和感は仕方ない面があります。
神経を取った後は、やわらかいものを食べて安静にして下さい。それでも痛みが増すようでしたら何か他の問題が考えられますので、ご相談下さい。

スポーツをされる方だけでなく、そうでない方も熱中症予防のためにスポーツドリンクを飲む方は多いと思います。汗で失った水分・電解質とともに、運動で失われたエネルギーをすばやく補給できる優れた飲み物ですが、歯のことを考えるとその飲み方には注意が必要です。スポーツドリンクのpHは約3.5で歯のエナメル質を溶かしてしまうpH5.5よりも酸性なので、長い間歯がスポーツドリンクにさらされていると歯の表面が病的に溶けてしまいます。これを「酸蝕歯」といいます。運動中は口で呼吸をすることが多く、口腔内が乾いているので特に影響を受けやすくなっています。
しかし、酸蝕歯がこわいからといって運動中にスポーツドリンクを飲まないと、電解質不足になったり、頭がボーっとしたり、痙攣をおこしてしまうこともあります。ちょこちょこと飲むのは水かお茶にして、休憩の時にまとめてスポーツドリンクを飲む、飲んだ後は水を一口飲む、など配慮して取るようにして下さい。

本当です。風邪やインフルエンザにかかるリスクを高くします。歯や舌、口の粘膜などには100億個もの細菌がいますが、歯みがきを怠っている人の場合、その数は1000億個とも。みなさんご存知のようにこうした細菌はむし歯や歯周病の原因になりますが、それ以外にもいろいろ悪さをすることがわかってきています。
お口の中のプラーク(歯垢)は細菌のかたまりです。栄養を取りながらどんどん数を増やし続けます。でもウイルスはこれとは違い、生きている細胞に入り込み、その細胞からエネルギーをもらわないと仲間を増やせません。インフルエンザウイルスはノドの粘膜をターゲットにし入り込もうとしますが、普段、粘膜は粘液でおおわれているのでウイルスは吸着できません(この時がガラガラうがいでウイルスを追い出すチャンスです)。
しかし、プラークに潜む細菌たちが出す酵素は、ノドの粘膜を守っている粘液を溶かし破壊します。そのためウイルスが吸着しやすくなり感染症にかかりやすくなってしまうというわけです。手洗い・うがい・栄養と睡眠、そして歯みがきで、風邪やインフルエンザを予防して下さい。

むし歯や歯周病の原因であるプラーク(歯垢)は、とてもしつこい汚れで、うがいや殺菌剤などでは落ちません。だから私たちは毎日歯磨きをします。器械的に取るのが最も効果的な方法なのです。
多くの方は手用の歯ブラシをお使いだと思いますが、電動歯ブラシもかなりの優れものです。手用よりも短時間で歯がツルツルになる爽快感は魅力です。ただし使いこなすにはちょっとしたコツと慣れが必要です。電動歯ブラシの場合、ブラシは動かさずに歯にあてます。手用歯ブラシのように動かしてはいけません。1~2本ずつ、数秒間です。強い力で押し当てないようにして下さい。歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の溝など汚れの溜まりやすいところは特にブラシの毛先がきちんとあたっているか気をつけましょう。
各メーカーにより歯ブラシの形から振動の強さ、ハンドルの太さ、重さにいたるまで様々です。また、歯周病の方が使うのか、お子さんか高齢の方か、矯正治療中なのか、状況によって使いやすいブラシは違ってきます。ご購入の前にかかりつけの歯科医院で相談されると安心だと思います。

永久歯は通常28本(親知らずを除く)生えてきます。しかし「先天性欠如歯」といって、あごの中にできるはずの歯の芽(歯胚)ができず、歯が生えないことがあります。約10人に1人のお子さんが先天性欠如歯という報告がありますので誰がなっても不思議ではありません。1~2本の欠如がほとんどですが、5本以上という方もいます。
歯が足りないためにおこる事は①かみ合わせが悪くなる ②かむ効率が悪くなる ③すき間ができるなど見た目の悪さ、です。
治療法としては①乳歯を大事に使い長持ちさせる ②矯正をする ③インプラントや被せ物で補うですが、乳歯の状態やかみ合わせにより異なってきます。
先天性欠如歯は早期発見が重要で、その後の治療に有利になります。先天性欠如歯かどうか心配な場合は、パノラマエックス線写真撮影をおすすめします。あご全体を撮るので歯根や歯胚の数、育ち具合までわかります。

前歯が1本歯根ごと無くなった場合、人工の歯を再建しなければなりません。この方法にはブリッジまたはインプラント治療があります。ブリッジは失った歯の両隣の歯を削ってそこに被せ物をし(支台)、それらにポンティックという人工歯を連結するものです。様々な症例に対応し、治療期間も比較的短いのが特徴です。
インプラントは失った歯のところの歯槽骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯冠をつけるというものです。チタンのインプラント体は歯槽骨と強固に結合するので自立し、隣在歯を削る必要はありません。しかし、インプラント体を埋め込む歯槽骨の量が充分に確保されていることが治療の条件になります。歯槽骨が足りない場合は「歯槽骨再生療法」で骨を造成しますが、その量には限界があります。インプラント体の埋入から結合を確認するまで約数か月かかるので、治療期間は長くなります。
失った歯の両隣が健康な歯でしたら、インプラント治療もいいでしょう。しかし、診査の結果、歯槽骨が足りなく歯槽骨再生療法も困難な場合はブリッジをおすすめします。

歯を磨いて出血するのは、「歯周病」だからと思われます。何らかの原因で歯ぐきに傷がついたときは別ですが、普通に歯磨きをして健康な歯ぐきから出血することはありません。出血は歯ぐきに炎症がおきて腫れている証拠です。
歯周病の原因はプラーク(歯垢)の中のばい菌なので、きちんとプラークを取り除かないと炎症はおさまりません。プラークは殺菌剤の入ったうがい薬などで取れるものではなく、歯ブラシで機械的にとる必要があります。歯磨きで大切なのはきちんと磨けているか?ということです。歯磨きなんてやればできる、と思っている方もいるでしょう。しかし現実にはできていない方が多いのです。
磨き残しやすい場所はどこなのか?そこのプラークを効果的にとるにはどうしたらいいのか?年齢を重ねるにつれ、被せ物が入る等お口の中の環境も複雑になってきます。歯ブラシだけでは掃除しきれないこともあります。デンタルフロスや特殊な歯ブラシ、歯間ブラシの使い方を知って、自分にとって最適な磨き方を見つけましょう。一度、歯科医院で歯磨き指導を受けることをおすすめします。歯ぐきの炎症がよくなってくると、出血もおさまってきます。歯磨きは継続してがんばってください。

起きているときにする「食いしばり」ですら、自分では気がつかないことが多いものです。就寝時の「歯ぎしり」「食いしばり」は自覚できず、気がついて自分でやめることができません。歯ぎしりの力は大変強いので、それが長く続くと歯がすり減ったり欠けたり、歯周病が悪化します。また被せ物が壊れたり、歯が折れたり、せっかく入れたインプラントが壊れることもあります。
そこで、歯やあごに加わる過剰な力を減らすために、就寝時用のマウスピース(ナイトガード)の使用が有効です。多くは硬いアクリル樹脂で製作し上あごに装着します。使っていくうちにナイトガードが削れてくるので、歯ぎしりの状態もわかります。自覚がなくても起床時にあごに疲労感がある方は歯科を受診して下さい。お口の中のいろいろな症状で歯ぎしりをしているのがわかります。
歯ぎしりはストレス他、様々な原因が複合的に加わり起こるとされています。現実的にすぐに歯ぎしりをしないようにするのは難しいので、まずはナイトガードの使用が一番だと思います。

これはエナメル質形成不全症と思われます。エナメル質は歯の表面の硬い組織で、内側の象牙質や神経を守る鎧のような働きをしています。エナメル質形成不全症は、永久歯の前歯と6才臼歯にみられることが多く、見た目の特徴としては白色、または黄色っぽい色をしています(健康な歯の色はクリーム色)。この部分はエナメル質の密度が粗く防御機能が弱くなっています。健康なエナメル質の歯に比べ、欠けたり崩れやすく、むし歯になりやすい歯といえます。
前歯の場合、強い力が加わりにくいので欠けにくいのですが、奥歯は噛んだ時の強い力により欠けやすく、またそこにプラークが溜まりやすいので、むし歯が発生しやすくなります。
エナメル質形成不全症の歯を大事に守って使い続けるには、予防・早期治療・経過観察が大切です。エナメル質が崩れたら、そこを補修、補強します。小さなうちに処置すれば削る量が少なくてすみます。そしてお子さんのお口の成長と完成をまち、必要に応じて本格的で長持ちする被せ物にかえます。定期的なメインテナンスはとても大切です。

歯科医院ではホワイトニングを治療の一環として行っています。安全なホワイトニングができるように、むし歯や歯周病の治療、クリーニングなどの必要な前処置をしてから進めます。ホワイトニングにはホーム・ホワイトニング(低濃度の薬剤を使用)とオフィス・ホワイトニング(高濃度の薬剤を使用)があります。ホームは毎日2時間、薬剤を入れたトレーを自分で装着します。2週間ごとに歯科医院でチェックし、ご希望の白さになるまで続けます。1ヶ月以上かかることもあります。オフィスは1~3回の来院です(個人差があります)。とにかく早く白くしたい、という方はオフィスがいいでしょう。自分で毎日続けるのは面倒、トレーの違和感が気になる、部分的に白くしたい方にもオフィスをおすすめします。じっくり時間をかけられる、できるだけ費用を抑えたいという方にはホームがおすすめです。
どちらもホワイトニング後は、後もどりを防ぐために定期的なメインテナンスが必要です。3ヶ月~1年ごとのタッチアップ(色補正のための適宜行うホワイトニング)を検討していきます。

6~7才頃、乳歯列の奥に永久歯(6才臼歯)が生え、6~8才頃に上下の前歯4本が永久歯に生えかわります。前歯に続いて9~12才頃に側方の歯が永久歯になります。生えたての歯は軟らかく、むし歯菌の出す酸に弱いうえ、他の歯より低い位置にあるので、噛み合わせの面が磨きにくく、むし歯になりやすくなっています。一番奥に大人の歯がでてきたら、一度歯科医院でこの時期にあった歯みがきの方法を教わるとよいでしょう。
また、生えたての奥歯には深いみぞがあり、汚れや食べかすがつまりやすいので、「シーラント」でうめてしまうとむし歯の予防になります。
この時期は歯並びが変化する時期でもあります。叢生(ガタガタ)、出っ歯、受け口になるなどの変化があれば歯科医院を受診して下さい。この時期に治療を開始した方がよい場合があります。

歯周病などで歯が抜ける場合と違い、突然のことなのでさぞかし驚かれたことと思います。まずはかかりつけの歯科医院に連絡し、受診して下さい。
外傷で抜けた場合は、その歯を戻せる場合があるので、歯を開けたての牛乳パックの中に入れ、なるべく早く持って行って下さい。その際、乾燥させたりこすったりしないで下さい。
運悪く歯を戻せなかった場合は、両隣の歯の処置を終え(脱臼、破折している場合が多い)人工の歯を入れます。治療方法として①インプラント②ブリッジ③入れ歯④応急処置のまま があります。年齢から考えると①は禁忌、③は受け入れ難く、②のブリッジも未熟な歯を大きく削るリスクを考えると避けたいところです。そこで④の人工歯を隣の歯に接着剤で仮付けする方法が多くとられます。強い力がかからなければ長く持ちますが、取れたらその度に付けなおす必要があります。
これ以外に接着ブリッジ(両隣の歯の後ろを薄く削り、そことダミーの歯を付ける)もあります。噛み合わせによっては適応できないこともありますが、大人になって本格的な治療を決めるまでのひとつの選択肢です。

健康な歯の構造は、表層にエナメル質、その内側に象牙質、そして真ん中には歯髄(神経)があります。硬いエナメル質は、歯を外からの刺激から守っています。むし歯がエナメル質に限られていれば痛みは感じません。ここで治してしまうのが理想です。ところが、エナメル質に穴が開きむし歯が象牙質にいたると、痛みを感じるようになります。この頃の痛みは、外からの刺激を受けた時に少し感じる程度です。また、唾液の作用によって、痛みが一時的になくなることもあります。
しかしむし歯がなくなったわけではありません。むし歯がさらに大きくなり歯髄に細菌が入り込むと、つらい痛みを感じるようになります。歯髄が腫れて、膿がたまると激烈な痛みになりますが、さらに進行して、歯に穴が開いて膿が外に出るようになると内圧が下がり、また痛みは引いてしまいます。楽になったからといってこの状態で放置するともっともっと炎症は周りの組織(骨など)に広がり、治療は大変になります。
むし歯は一度痛みが出たら、早いうちに処置することが大切です。

医療の進歩によりがんも治る病気になってきましたが、一方で副作用による合併症に苦しむ方も多くなってきました。がん治療の副作用というと、吐き気や脱毛を思いうかべますが、口の中もおおいに関係します。がんの治療中は口に様々なトラブルが起きやすくなるのです。
例えば、抗がん剤治療により口内炎ができやすくなります。口の中を清潔にしていないと、口腔細菌によりひどい口内炎ができ、その結果食事や睡眠がままならなくなると、体力の回復はもちろん治療の継続が難しくなってしまうこともあります。また、むし歯や歯周病が急激に悪化したり、口腔細菌が唾液と一緒に入ると誤嚥性肺炎をひきおこすことも。
がんの治療前はもちろん治療中も口腔ケアをすることにより、副作用によっておこりがちな口内炎・肺炎・敗血症などを確実に減らすことができ、がん治療の成績が向上します。どうぞ、治療の効果があがって病気が治りますようにお祈りいたします。

口内炎とは口の粘膜におこる炎症の総称です。その中にはアフタ、カンジタ、ウィルス感染による水疱、外傷によるもの、前がん病変などあります。多くの方が経験しているのは「アフタ」という口内炎です。この白色で米粒大のぽつぽつの特徴は痛みが強いこと。食事がつらいこともあると思います。痛みが強い時は、塗り薬や貼り薬などを使いますが、何もしなくても約2週間で治ってしまいます。
アフタの原因はビタミンB不足、鉄分不足、体力が落ちた時にできやすいとか様々言われていますが、実はまだ明らかになっていません。栄養バランスに気をつけ、疲れを溜めない生活は大切ですが、これという予防法はないので対症療法が主になります。お口の中を清潔に保つのはとても重要です。お口の中の細菌が多ければ口内炎はなかなか治りません。
まれですが全身の病気で口内炎ができることもあります。2週間たっても改善しない時は受診を考えて下さい。

歯科の病気は見えるものや、痛みがあって気がつくものばかりではありません。むし歯が外から見えない深い部分にひろがっていたり、歯周病で歯根を支える骨が吸収されている状態を把握するにはエックス線検査が必要です。エックス線写真なく手探りで治療を開始することは考えられません。
歯科の代表的エックス線写真は、デンタルエックス線写真とパノラマエックス線写真です。パノラマは、あごの骨を含めたお口全体の硬組織をうつします。歯とあごの骨全体の状態、上顎洞や神経の位置、未萌出の歯の位置や方向なども分かります。有益な情報いっぱいのパノラマですが、弱点は画像のシャープさに欠けるところ。そこで、パノラマでは読み取れない細部についてはデンタルエックス線写真が必要になります。デンタルエックス線写真のフィルムは小さく、撮影できるのは3歯位です。
放射線量はデンタルエックス線写真はおよそ1枚0.005m Sv、パノラマエックス線写真は0.006m Sv。自然放射線量の世界平均2.4m Sv(日本は1.43)と比較しても心配するような値ではないので、安心して受けてください。

スポーツ時の外傷から歯やあごなどを守る装置に「マウスガード」があります。試合や練習の時の歯の外傷(歯が折れる、抜けるなど)や口の中とその周辺(唇、舌、頬など)の裂傷の予防、あごの骨折予防、あごの関節の保護、そして脳震盪の予防のために使われます。また、全身運動時にマウスガードを装着して噛みしめると、首のまわりの筋肉の活動を高めることができますし、装着することによる安心感がよりアグレッシブなプレイを生むなどの効果も期待できます。
マウスガードには大きく分けて3つのタイプがあります。ひとつは購入してただ装着するだけの既製品。もうひとつは選手自身が成形するタイプ。3つめが歯科医院でつくるカスタムメイドタイプです。既製の市販品は、適合性や形態が不良な事が多く、十分な外傷予防効果が期待できないばかりか、噛み合わせがズレてしまうこともあります。一方カスタムメイドのマウスガードは、適合性に優れ、厚みの調整や材質を選択できるなど自由度も高く、衝撃吸収性も期待できます。そして何といっても正しい噛み合わせで提供することができます。

コマーシャルでたびたび耳にするキシリトール。今では市販のチューイングガムの80%がキシリトール入りになりました。キシリトールは白樺や樫などの樹木に含まれる「キシランヘミセルロース」から作られる天然素材の甘味料です。カロリーは砂糖4.0kcal/gに対し3.0kcal/gとやや少なめですが砂糖と同等の甘味があります。砂糖と同じ甘さの糖分なのになぜむし歯にならないのでしょう。
キシリトールと砂糖は分子構造に違いがあり、この差からむし歯菌のミュータンスはキシリトールを取り込んでも、むし歯の原因である「酸」を作ることができないのです。それどころかキシリトールを取り込み続けたミュータンスは無駄なエネルギーを使って疲弊した結果、力が弱まってしまうのです。
いろいろなキシリトール製品がありますが、代表的なのがガム。ガムをかむ時はミュータンス菌にキシリトールを与えるため、最初のツバはすぐに飲みこまず2分程度口の中に回しましょう。ガムが苦手の方にはタブレットでも。キシリトールはフッ素と併用することで効果が高まりますので、フッ素・キシリトール入り歯磨き剤もおすすめです。

矯正治療は、子供だけではなく、大人・年配の方の歯並びも治します。「若い頃は歯並びが良かったのに、最近、出っ歯になってきた」のは、歯周病で病的に歯が動いたり、奥歯が欠損したまま治療を放置したことが原因と考えられます。
歯周病になると、歯が動揺し、そこへ噛む力が加わると、歯は少しずつ動き・倒れ、隙間も目立つようになります。奥歯を失い前歯に力がかかりやすい患者さんでは、とくにこうした症状がおこりやすいです。この症状が進むと、ついには噛み合わせが変わり、しっかり噛んで食べられなくなります。
歯周病の炎症があっては歯を動かせませんので、まずは歯周病の治療をし、炎症が止まったところで矯正治療を開始します。もともと歯並びが良かった患者さんなら、歯を並べるスペースがあるのでむしろ治療には有利です。部分的な矯正治療できれいに並ぶこともあります。この治療は、可能な限り歯を抜かず、食事が楽になるうえ、見た目も驚くほど若々しくなり、患者さんに喜ばれる治療です。

むし歯は菌の感染によって起こる病気なので、お子さんのむし歯が多いのは遺伝のせいではありません。生まれたての赤ちゃんの口の中にはむし歯菌も歯周病菌もいません。では、どうして感染していくのでしょう。
まずは、家族の口の中の菌が移ります。よくあるのが離乳食を食べさせるとき。親や祖父母が使ったスプーンで子供に食べさせると、菌が移ります。大きくなってからも同じ箸やコップの使用で移ります。むし歯だらけのお母さんの口の中にはむし歯菌がうじゃうじゃ。そんなスプーンで食べたら赤ちゃんの口の中もばい菌でいっぱいになってしまいます。でも現実的には菌が移らないなんてありえません。少しでも口の中の菌を減らすことが大切なのです。
また、家族は生活習慣も似ています。ダラダラ食べる、甘い物を飲む、歯みがきをきちんとしないなど、むし歯になりやすい環境をつくっているのです。
菌が移ってしまう!なんて神経質になる必要はありません。愛する家族のため、自分のため、日頃のセルフケア、定期的なプロのクリーニングをうけて口の中の菌を減らしましょう。

何度も通院し調整をくり返し、やっと合う入れ歯を手に入れたのだし、歯はもうないし…、なぜこれからも通わなくてはならないのか?と、お考えなのですね。
入れ歯がすりへったり、壊れた場合はもちろんですが、入れ歯を長く快適に使うには他にもとても大切な条件があります。土手(もともと歯が生えてたところ)の状態と、噛み合わせの状態です。
土手は歯を失うことによりボリュームがなくなり、変化します。総入れ歯を使っているうちにも少しずつ変化するので、以前は合っていた入れ歯がだんだん合わなくなることがあり、調整が必要になります。もうひとつの問題が噛み合わせです。総入れ歯の方はご自分の歯がないために、下あごの位置に変化がおこりやすく、入れ歯を入れてかんだ時、力のかかり方が偏ってしまうことがあります。この偏った力がガタつきの原因になります。
土手や噛み合わせの変化は徐々におこるので気がつかずに使い続けてしまい、ある時いきなり問題は表面化します。ですから半年ごとのチェックで大きなトラブルの予防をしましょう。

仮歯がきれいで気に入ったため、治療が途中になってしまう方がいますが、決して仮歯のまま治療を止めないで下さい。なぜ、仮歯は必要なのでしょう?大きなむし歯や折れた歯の治療途中に、見た目をよくするため、食べやすくするため、そしてむき出しになった象牙質(歯の表面の硬いエナメル質の内側にある軟らかくてデリケートなところ)を守るためです。
仮歯は短期間の使用を前提に作られています。材質は軟らかいプラスティックですので、吸水性があり変色しやすく劣化します。そして、外すことを考え、弱い接着剤で仮に止めてあります。また、本物のクラウンのように精巧ではなく、歯との適合は完全ではありませんので、境目などに汚れが付くこともあり、そのまま放置すると、むし歯や歯槽膿漏の原因にもなりかねません。仮歯でずっといると知らず知らずのうちに汚染されて、治療がさらに大変になることも。
仮歯はあくまで一時的なもの。今はお気に入りでも、いずれポロッと外れ治療は必要になります。しっかり最後まで治療は受けて下さいね。

6~8歳のお子さんの永久歯が生えてきたら歯並びが悪くなった、という話をお聞きすることがあります。小さい乳歯から立派な永久歯になるこの時期、乱ぐい歯(ガタガタの歯並び)や、出っ歯、受け口になることがあります。こんな時は矯正歯科医に相談して下さい。思春期成長期前の前期治療(一期治療)が有効な場合があります。
前期治療とは、あごの骨格が成長途上で柔軟な時期に、主訴および骨格の問題を改善することを中心に考える治療です。その後、経過観察を経て、全て大人の歯になってから、後期治療(二期治療)をして最終仕上げをします。通常は、前期と後期治療はセットで行なわれますが、稀に前期のみで十分に改善され終了となる例もあります。前期治療が特に必要なのが、受け口と開咬(奥歯が噛んだ状態で前歯が閉じない)です。極端な出っ歯、乱ぐい歯にも前期治療の効果は大きいです。
いずれにしても、遅すぎる受診はあっても、早すぎる受診はないので、心配な時はご相談下さい。

日本人の死亡原因は「がん」「心疾患」「脳血管疾患」についで「肺炎」が第4位です。その肺炎で死亡する方の90%以上が65歳以上の高齢者で、その70%以上が「誤嚥(ごえん)」に関係していると言われています。
誤嚥とは、食べ物や飲み物、胃の中の物が誤って気管に入ることです。通常、空気は気管へ、食べ物飲み物は食道へと上手に振り分けられます。しかし、気管と食道は隣り合っているため、誤って食べ物などが気管へ入ってしまうことがあります。その気管に入ってしまった物に含まれる細菌が原因で肺炎になることを「誤嚥性肺炎」といいます。
誤嚥性肺炎の予防には、誤嚥を防ぐこと(よく噛んでゆっくり飲み込む、食事時の姿勢に配慮する等)、免疫力向上のため栄養状態の改善に努める他、もし誤嚥しても肺炎にならないよう適切な口腔ケアが必要です。まず歯みがきやうがいなどで、歯垢・舌苔(舌につく汚れ)を除去し、口腔内の細菌を減らします。入れ歯の清掃にも注意し清潔に使用します。嚥下(物を飲み込むこと)機能低下を抑えるためには、口腔内マッサージやリハビリも行ないます。

私たちの舌は食べる時、おしゃべりする時、様々な場面で繊細な動きをしていますが、それを意識することはほとんどないと思います。
この舌の位置や動きが悪いことを「舌癖(ぜつへき)」と言います。奥歯をかみ合わせても前歯が閉じない状態を「開咬」といいますが、舌癖が原因の事が多いのです。
実は、舌には収まるべき正しい位置があります。唇を軽く閉じたとき、舌全体が上あごの天井にぴったりと付き、舌の尖端は上の前歯に触れていないか、触れても前歯の根元に軽くふれるくらいです。そして、つばをゴクンと飲んだ時に、その尖端はそのままで前歯を押すことはありません。舌の筋力がないと、定位置におくことも難しいですし、動きも悪くなり、よくない力を歯に加えることになり、歯並びに影響します。
舌癖は、舌の定位置を覚えるとともに、舌と唇の筋力を鍛えることで改善します。舌癖がなくなるとそれだけで歯並びが改善することもありますし、矯正治療の効果もだんぜん上がります。

奥歯の喪失は、咀嚼機能の低下を引き起こします。そこで、人工の歯を入れて機能の回復を図ることが大切になります。治療の選択肢となるのが、①部分入れ歯 ②ブリッジ③インプラントです。それぞれにメリット、デメリットがありますので、患者さんの口の状態(失った歯の種類・失った原因・残った歯とその周囲の状況)と、ご希望に合わせて選択します。
①部分入れ歯は、歯をたくさん削らなくてすみ、取り外し式で手入れが楽な反面、違和感もあり噛む力も弱くなる。
②ブリッジは固定されているので、違和感が少なく噛む力が落ちない反面、両隣の歯を削る必要がある。
③インプラントは、健康な歯を削る必要がなく周囲の歯に負担をかけない反面、治療期間が比較的長く、自費診療になる。
どの治療法を選択したとしても、安定した予後のため、定期的なメインテナンスが必要です。入れた歯がいくらしっかりしていても、その周りの状況が悪くなってしまうと、ブリッジやインプラントに負担がかかり、長持ちさせられなくなります。

たばこの影響というと、肺がんや気管支炎を思いうかべる方も多いと思いますが、実は口の中にも様々な影響があります。
①口臭が強くなる ②味覚・臭覚が低下する ③歯の表面に歯垢(プラーク)が付きやすくなるのでむし歯になりやすい ④歯周病を悪化させる 等です。
歯周病で歯肉に炎症がおきると、出血したり腫れたりするので病気にかかったことに気づきます。しかしたばこを吸うことによって血管が収縮し、出血や腫れが少なくなると発病に気づきにくくなります。またニコチンやタールの影響で、歯肉への酸素供給量が減ったり、白血球の正常な働きが弱ってしまう結果、免疫力が低下し歯周病が進行・重症化することがあります。
喫煙は口腔内に様々なトラブルをひきおこします。これは周りに漂う煙を吸う(受動喫煙)方も同様です。歯周病や口腔がんのリスクを減らすために、禁煙はとても大切なことなのです。

親知らずは、一番奥に生えてくる歯で、多くは成人してから生えてきます。現代人のあごはスリム化する傾向にあり、一番最後にでてくる親知らずが出られるスペースはありません。結果、水平や斜めに生えていろいろなトラブルを引き起こす原因になります。
例えば、前の歯の歯ぐきの下にむし歯をつくったり、歯ぐきに炎症がおきて腫れたり、さらには歯を支える骨を溶かしたり。歯並びやかみ合わせに影響することもあります。将来、こんなトラブルが予想される場合には、痛みがなくても抜いてしまった方が得策です。もちろんまっすぐに生えて上下しっかり噛んでいる歯は抜く必要はありません。
横向きの親知らずの抜歯は、歯ぐきを切り、必要に応じて歯のまわりの骨を最小限に削ったりと大変です。術後も痛み・出血があり、腫れます。神経に近い親知らずを抜く時はしびれがでることもあります。事前に、抜く理由やリスクについてしっかり説明を受けましょう。

歯科矯正は、全顎的治療(全ての永久歯に装置をつける治療)で、きれいになるまで2~3年、さらにきれいになってからのメインテナンス(保定期間)に2年以上かかります。この間一番大切なのは、自分の歯並びをよくするために長時間じっくりと、治療に向き合うこと。つまり「やる気」です。
いくつか具体的に気をつけることをあげます。
①歯を動かしている期間は、4~5週間間隔で受診しましょう。保定期間は、数ヶ月~半年毎のご予約になりますが、必ず受診して下さい。
②取り外しの装置・自分で付けるゴムは、必ず指示された時間使用しましょう。
③歯みがきは時間をかけてていねいに。ワイヤーの下、装置と歯ぐきの間など、磨きにくいところがあります。治療中、むし歯や歯肉炎にならないように。
歯みがきを怠らず、予約どおり受診し、ゴムや取り外しの装置を指示された時間使う方は、予定の治療期間で終了します。変化していく歯並び、これからの矯正治療を楽しんで下さい。

気になるお口のにおい。このにおいの正体はお口のなかにいる細菌がたんぱく質を分解して作る、揮発性の硫黄化合物です。自分の体内で作られ、しかも四六時中嗅いでいるため慣れてしまい、においを撒き散らす当人は気付かないことが多く、その一方、他人の口臭には慣れていないためよくにおいます。
口臭には、朝起きてすぐなど誰にでもある「生理的口臭」と、病気が原因でにおう「病的口臭」があります。生理的口臭は食事をすることによって減らせます。食べ物が舌や粘膜の掃除をして舌苔(舌の上のクリーム色の汚れ)を減らし、また噛むと唾液が出て口のなかを洗い流してくれるからです。
病的口臭の原因は、歯周炎です。病的口臭をなくすには歯周炎の治療が不可欠です。歯周ポケットの歯石やプラークを取り除き、口臭を作る歯周病菌を口の中から追い出すのです。こうしてにおいの原因をもとから断った後は、半年に一度のクリーニングを受け、毎日の歯みがきに加え舌ブラシとフロスも習慣化しましょう。

『歯ぎしり』は、寝ているときにギリギリと歯を強くこすり合わせることです。似たものに『くいしばり』があります。これは就寝中に限らず日中に歯をグイッとくいしばることです。どちらも無意識に行われていることで自覚することはまれです。
歯を失う主な原因として①むし歯②歯周病がありますが、他に③過剰な力があります。私たちの歯は食事の時・唾を飲みこむ時以外、離れているのが普通ですが、これ以外にも強い力が加わり続けると、知らず知らずのうちに歯や歯根、歯を支える骨までも痛め、さらには顎の関節にもトラブルが生じることもあります。
歯ぎしりもくいしばりも主な原因はストレスなので、生活の見直しは欠かせません。歯科に限らず医療全般にいえると思いますが、健康はセルフコントロールによって守られます。日中のくいしばりなら気づきさえすれば減らすことができます。また、マウスピースの使用も効果的です。食事以外一日中使用すると歯ぎしり・くいしばりを発見できるとともに、歯や顎への負担も軽くなります。

むし歯菌が出す酸によって歯が溶けるのがむし歯。酸蝕歯とは酸性の食べ物、飲み物の影響によって溶けてしまった歯のことをいいます。どんな人も日常的に酸の影響を受けていますが(つまり溶けている)、唾液の力(再石灰化)によってエナメル質(歯の表面の硬い部分)が修復され、そのバランスが保たれています。しかし、酸性の飲食物に長く触れたり唾液の減少などにより、そのバランスが崩れると問題が生じます。
コーラ・スポーツドリンク・黒酢ドリンク、グレープフルーツ・レモンなど酸性の飲食物が好きな方は気をつけて下さい。予防法は①酸性の飲食物を口にしたらその後すぐ水かお茶を飲む②すっぱいものを食べたら30分ほど歯みがきを控える③口が渇いているときは酸性の飲食物を控える④フッ素入りの歯磨剤やジェルを使う、などです。
酸性の食べ物・飲み物のなかには体に良い物がたくさんありますので、必要に応じて摂ることは大事なことです。飲み方・食べ方に注意をしてエナメル質を守りましょう。

インプラントはあごの骨に埋めたチタン製の人工歯根・それに取り付ける連結部分(アバットメント)・それを覆う人工の冠の3つのパーツから成ります。
治療は①検査 ②治療方針・費用等説明 ③前準備(歯周病・虫歯の治療等) ④インプラント埋入 ⑤3~6か月後、あごの骨とインプラントの結合を待ってアバットメント連結 ⑥歯肉の治りを待って人工の歯・入れ歯などの型取り ⑦仮歯 ⑧最終完成物のセット、と少し時間がかかります。
また、丈夫で長期にわたり噛む力を受け止められるように設計されているものの、歯ぎしりなどの過度の力で精密な部品が壊れることもありますし、インプラント自体は問題がなくてもそれを支えるあごの骨が歯周病でなくなるとグラグラするなど、治療後のケアが耐久性を大きく左右します。
しかし失った歯の代わりとして、人工の歯を違和感なく使うことができ、またインプラントに磁石をつければ入れ歯の安定が格段にアップします。インプラント治療は現状を改善するためのよい方法と思います。

一口に出っ歯といっても、前歯に限ったものなのか、奥歯にもかみ合わせのズレがあるのか、骨格的な問題があるのかなどいろいろな状態があり、それぞれ治療方法が違ってきますし、矯正治療の開始時期も異なってきます。
一般に矯正治療というと、永久歯全部に装置をつけワイヤーを装着すると思われるようですが、不正咬合の状態によっては、永久歯に生えかわる前(混合歯列期)の治療が有効な場合もあります。早くから始めるメリットは、成長を利用できる、歯を動かしやすい、という点でしょう。また、早期の開始により歯を抜かなくてもすむこともあります。
初めてのご相談(初診)の時におおよその説明ができます。その後の診査(X線撮影・お口の型とり・写真撮影等)結果をもとに長期的な治療計画を立て説明いたします。早く始めなくてもいい場合は、永久歯が生えそろうまで、1年に数回定期観察をしていきます。

歯の色をきれいにするには、「ホワイトニング」の他、歯の表面を薄く削ってセラミックのシェルを貼る「ラミネートべニア」、歯を削って被せる「クラウン(冠)」などがあります。今回はホワイトニングについてご紹介します。
ホワイトニングには二種類の方法があります。ひとつは歯科医院で行なうオフィスホワイトニング(以下オフィス)。もうひとつがご自宅で行なうホームホワイトニング(以下ホーム)です。
オフィスはホワイトニング剤を歯に塗布し光をあてて漂白します。歯の色調にもよりますが数回の来院が必要です。ホームは歯科医院でつくったトレーに薬剤を入れ自宅で装着します。オフィスより薬剤の濃度は低く、緩やかに効いていくので効果をすぐに実感できません。しかしオフィスよりも後戻りが少ないというメリットがあります。
それぞれに良さがあるのでどちらを選択するかは相談して決めてください。効果的にホワイトニングするには両者を併用するのがよいでしょう。ホワイトニングは自費診療になります。当院ではホームの場合、片顎(上または下)で9,450円~です。

これは「歯周病」かもしれません。すぐに受診して下さい。歯周病は歯垢(プラーク)や歯石にかくれた細菌によって発症する感染症です。はじめは歯ぐきが腫れる歯肉炎、そして進行すると歯を支える歯槽骨がとけてしまう歯周炎へと悪化します。
歯周病の治療の基本は「歯周病菌の除去」。つまり徹底的にプラークと歯石をとることです。患者さんに合った歯みがき指導は基本かつ最重要課題。そして歯面だけでなく歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝。歯周病が進むほど深くなる)の中を、プロフェッショナル・クリーニングできれいにする必要があります。これらの初期治療で炎症がなくならない場合は、歯周外科治療などに進みます。
日本人の成人の80%以上に歯周病の症状があると言われていますが、痛みがないままひそかに進行するので、つい受診が遅れてしまい治療が大変になることも。小さな治療で大きな効果をあげるには早期発見・早期治療が重要ですが、何より歯周病の治療は根気よく続けることが大切です。

歯の根っこ(歯根)と歯を支えるあごの骨(歯槽骨)がしっかりしていれば、いくつになっても可能です。現実にはおとなの患者様の場合、歯周病に罹っている方は大変多いもの。でも歯周病の治療をきちんと受け、炎症のコントロールができていれば、ほとんどの場合矯正はできます。ただし、通常より弱い力をかけるなど配慮も必要になってきます。
こどもの矯正治療と違う点は、あごの成長を利用できないぶん抜歯するケースが多い、ゆっくり動かすため治療期間が長くなる、また動かせる量にも制限がある、などです。反面、ご自身の強い意志で始めるおとなの方は治療中のモチベーションも高く、治療は順調に進むことが多いです。
治療後は歯磨きが楽になり虫歯・歯周病のリスクが低くなる、偏った力がかからないので詰め物・被せ物が長持ちするなど、お口の健康に与える影響は大きいもの。今や矯正治療はこどもだけのものではありません。

一般的な噛み合わせは、下の前歯より上の前歯が前にあります。その逆を受け口、または反対咬合といいます。受け口ですと、サ行の発音がしづらかったり、前歯で食べにくかったり、時には歯ぐきが下がったり歯がぐらぐらになることもあります(外傷性咬合)。その顔貌に劣等感を持つ方も多く、心理的な問題も大きいと思います。
治療の時期については①早く始める ②成長が止まった頃 の二つの考えがあります。下顎は身長と同時期に成長するので、一度治してもまた受け口にもどってしまうことがあります。患者様によっては成長が止まってから(20才以降)外科的手術をすることもあります。
しかしその後の顎の成長をより良い方向に導くために7~8才で受け口の治療を開始することはとても大切だと私は考えます。装置は、取り外しのできるもの、つけっぱなしのものなどいろいろあり、噛み合わせにより選びます。

私たちの歯の表面は硬いエナメル質で覆われています。外界の刺激から歯を守ってくれているエナメル質のどこかが失われたり、ヒビ割れたりすると、刺激が神経まで届いてしまい痛みがでます。これが知覚過敏です。知覚過敏の症状は軽度のものから重度のものまで様々です。生活習慣を見直す(ゴシゴシ磨きをやめる・歯ぎしり食いしばりに気をつける・酸性の飲食物の取りすぎに注意等)ことで、軽度の場合は改善されることがあります。これで改善しない場合はコーティング剤などを歯に塗布します。この表面の保護だけでは治まらない場合、詰め物をして炎症が治まるのを待ちます。これでもよくならない時は残念ながら神経を抜かないと痛みは止まりません。結果的には大きな虫歯を治療する時と同じ処置になります。
知覚過敏もむし歯、歯周病同様、歯科医院でのメインテナンスとセルフケアがとても大切です。適切なブラッシング法をプロに教わったり、クリーニングをうけてご自分の歯を守っていきましょう。